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甘辛ドルチェミスト 第1話 | みつきの小説 - BL小説・漫画投稿サイトfujossy[フジョッシー]
目次
甘辛ドルチェミスト
第1話
作者:
みつき
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第1話
岸本紘二
(
きしもとこうじ
)
26歳。 職業、会社員。 仕事が早く終わった日は決まって立ち寄る場所がある。 本格的なイタリアンを提供する事で有名なレストラン。 星付きの店とかじゃないけれど、最近雑誌とかで取り上げられる事があるみたいで、そこそこ有名なレストランだと思う。 この店は、僕の好きな人の職場だ。 彼はこのレストランでパティシエとして働いている。
前川稑
(
まえかわろく
)
26歳。 職業、パティシエ。 出会いは20歳の春。 僕は甘い物が好きで、当時はバイト代を貯めてはデザート巡りをしていた。 もちろん、今でも甘い物は大好きで、暇があればフラッとデザート巡りをしたり、稑くんの視察に付き合ったりしている。 稑くんが働くレストランに足を運んだきっかけは、デザート仲間からドルチェが美味しいという話を聞いたからだ。 清水から飛び降りるような気持ちでお店に入った事を今でも良く覚えている。 高いとは聞いていたけれど、メニューを開いてそのとんでもない値段には本当に驚いた。 親の仕送りと少ないバイト代で生活している極貧大学生には中々厳しいものがあった。 出される料理は、高い事が頷ける程美味しかった。 目当てのドルチェは、今まで食べてきた中で一番美味しかった。 ほっぺたが落ちる…という例えがあるけれど、実際本当にほっぺたが落ちた。 とても幸せな気分になった。 なにより、食べた料理の味を損なわないというか… 素人の僕には上手く言えないけれど、全てを引き立てているような、そんな味がした。 すっかりそこのドルチェに惚れ込んでしまった僕は、バイト代を貯めては通うようになった。 何回か通った時、初めて稑くんが僕の席に顔を出した。 僕がドルチェ目当てだとお店の人に気付かれていたからと思う。 ーーー 『当レストランでパティシエをしております、前川と申します。いつもお褒めの言葉をいただいているとホールの者が申しておりまして、一度ご挨拶を…と。』 稑くんはドルチェみたいに甘い香りがする綺麗な人だった。 それから僕が店に行く度に顔を出してくれるようになった。 同年代という事もあって、すぐに打ち解けて、視察という名のデートを積み重ねた。 その一年後、僕から告白をして今に至る。
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みつき
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