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第2話
付き合って5年…
同棲を初めて3年…
付き合い始めてからの稑くんは…
「紘二、仕事が早く終わったからって来るなよ。」
ずっとこの調子だ。
「酷いなぁ。いいじゃない、僕は稑くんと帰りたいんだから。それにもうクローズしているでしょ?」
「わざわざ一緒に帰る必要ないだろ。同棲してるわけだし…。俺を待ってるつもりだかなんだか知らないが、迷惑だ。」
「迷惑って…そこまで言うかなぁ…」
「そもそもクローズした店に入って来るな。」
甘くて美味しいドルチェを作る、甘い香りをした稑くんは、なかなかの辛口男子に変貌していた。
「おーい、前川。」
「あ、すいませんオーナー。コイツ、また勝手に入ってきちゃって。」
「それは別に構わないけど。…つか、折角だから紘二君にも試食してもらったらどうだ?新作。」
僕には辛口な稑くんは、オーナーさんにはちょいデレだ。
(入ってきちゃってって…ちゃってって…)
僕には絶対にしない口調だ。
当然、僕はジェラシーを燃やして、オーナーさんをライバル視している。
「いや、そういうわけには…」
「なぁ、紘二君も食べたいよな、前川の新作。紘二君は前川のファンだもんな。」
「稑くんが許してくれるなら、食べたいですけど…」
僕とオーナーさんの視線に稑くんが溜息をついた。
「ったく、仕方ないな。食べるからにはちゃんとした感想を聞かせろよ。くだらない事言ってみろ、もう二度と食わせないからな。」
「はは、前川は相変わらず紘二君に厳しいな。」
僕は苦笑しながらも、稑くんの鋭い睨みに内心震え上がっていた。
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