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祥に突き放されてから一週間、 モデルの仕事やテレビの仕事が一気に押し寄せてきて寝る暇もなく仕事に追われていた 「直輝君お疲れ様〜」 「マネージャー…次からは…少し余裕くれ…」 「なーに言ってんの!こんなの朝飯前だよ?!」 「…あー…俺やっぱ向いてねーな〜」 「どこが?!裏では確かにクソガキだけど仕事の時は俺も見惚れるよ」 「褒めてんのか貶してんのか分かんねーよ」 「まあまあこれからももっと頑張ろうね、明日は久しぶりのオフだから」 「……オフか、今は仕事してたいかも」 「珍しい…どうしたの直輝君?!」 「いやー別にー」 「……祥くんとなんかあったんだ?」 「………マネージャーさ、そうやって探ってくんの良くねーよ俺がクソガキだからって」 「あははっ本当に直輝君は祥君が絡むと手厳しいね」 「………泣かせたくないからな」 「そっか、まあ僕としては直輝君が近頃おんな遊びしなくなってくれて嬉しいよ」 「…………それ、悪いけどまた復活するかも」 「えええなんで?!祥君と何かあったの?!」 「あーうるせーな!マネージャーもう帰っていいよ、俺一人で帰れるからお疲れ様!」 「あ!またそうやって逃げる!祥君と早く仲直りしてその目の下のクマなんとかするんだよ!」 「あーい、お休み」 ガミガミとうるさいマネージャーを見送ると、俺は事務所のソファに腰掛けて一息ついた この一週間俺も連絡しなかったけど、祥からも一度も連絡が来てない 前は学校にまで来たくせに今回はなんの音沙汰もなしだ。 「………このまま二度と顔合わせねーで終わるつもりかな」 携帯のアドレス帳に乗っている祥の番号を見つめながらぼやく セフレ……なんて思ったことねーよ。 一度だって思ったことなんてない。 祥は俺にとって宝物みたいなやつだ。 あいつの事泣かせたくなくてずっと幼馴染みごっこに付き合って来たんだ。 そう思い目を瞑ると、 祥の陽だまりみたいな笑顔が頭の中に浮かんでは消えていく 幾つも幾つも色んな思い出をあいつと過ごして作ってきた ――もう一度会いてえ…ちゃんと祥の目見て話したい そう思った俺の指は自然と通話ボタンを押す 出ないかもしれない もしかしたら着信拒否されてるかも でもそれがどうした 祥からもう一度繋いでくれた手なら 俺がしっかり握ってないでどうやってあいつの事惚れさせるんだよ 弱腰になってる俺に喝を入れながらコール音を聞いていると音が鳴り止みザーッと通話が繋がる音がした 「…………祥?」 「…………」 「…………祥、会いたい」 「…………」 「…………俺ちゃんとお前に話したい事がある」 口にしてみたが電話口からはずっと同じ何も聞こえないままだ。このまま何も返事が帰ってこないのかと不安になった時祥君じゃない声で返事が聞こえた 「………直輝くん?」 「………誰だ…?」 「……俺、瑞生っていいます、祥の学校の先輩でバイト先も一緒の」 「……で、なんでその先輩が祥の電話に出るの?俺は祥に話があんだけど」 「ふっ生意気だね〜……悪いけど今日祥は俺の家泊まるから」 「………あっそ、どうでもいいけど変わってくんね?」 「本当にどうでもいいの?」 「は?どう言う意味?」 「……祥の初めての男って君でしょ?」 電話越しに話す瑞生っていう男の声色が変わった。 こいつ祥の事そういう目で見てんのかよ 「……それ祥が言ったの?」 「んー祥は何も…俺の勘だけど違う?」 「………祥に手出したらぶっ殺す」 「ふふっ凶暴だね〜でも祥が俺の元に来たがったら話は別だろ?」 「……祥がお前を好きになるわけねーだろ寝ぼけてんのか」 「さあ?どうだろ…俺は欲しいものは絶対に手にしなきゃ気が済まないから」 「………何考えてんだ…祥の事泣かせてみろ!絶対に許さねー!」 「ふふっ吠えるのもいいけど君に何ができるの?じゃあね、な お き く ん」 最後おちょくるかのように名前を呼ぶと電話が一方的に切られた 「くっそあの馬鹿!だからほいほい隙見せんじゃねえってあれだけ…!」 俺は焦る気持ちを抑えこみ必死に頭を働かす とにかく祥の元に行かなきゃ またあいつが傷つく前に。 きっと学校もバイトも一緒の先輩って、祥にとったらすげー大切な人に違いない またそんな奴に襲われたらどんどんあいつ人の事信用出来なくなる 誰の手も取らずに一人で生きようって無理するに違いない そうさせたくないから俺は傍にいたんだ。 俺はそう思うと事務所を飛び出し携帯を握り走り出した

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