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酔っ払い
俺は今幸せの絶頂にいると思う
「えへへ〜なお〜俺の事好きぃ?」
元々たれ目がちの瞳をもっと垂れさせて
真っ赤な顔をして可愛すぎる顔して笑ってるのは俺の酔った天使だ
「んー」
「すーきー?」
「ん〜…」
「……好きじゃないの…?」
ソファに座っている俺の膝を跨いで向かい合い座る祥がさっきから何度もそう聞いてくる
好き以外の答えなんてないけど
少し意地悪したくてはぐらかしてみたら
うるうると目に涙を溜めて泣き出す寸前だ
「うぅっ…おれはぁ…好きらのにぃ直輝は…好きらないの…?」
「好きだよ」
「ほんとっ?!」
祥の頭を撫でながらニッコリ笑うと
さっき迄泣きそうだった顔がにぱっと花を咲かせ笑顔になる
「直輝っ俺の事好き?」
「うん、好き、大好き」
「えへへ〜俺も、直輝がいっちばん好きだよっ」
小首を傾げてニッコリと嬉しそうにそういう祥の破壊力は半端なかった
あの天邪鬼な祥が一体どうしてこうなったかというと…
◇◇◇◇◇◇
数時間前、仕事が終わった俺は祥からの連絡に気づいて電話をかけ直した
「もしもし?祥?」
「あ、らおき〜!らおき〜いまどこぉ〜?仕事はぁ〜?」
楽しそうな声に呂律の回っていない祥の喋り方
………………いやいやまさか
「…仕事終わったんだけど、祥どこいんの?」
「おれはぁー…うーん…とね……あれ?ここどこらろぉ?」
辺りを伺っているのか途切れ途切れに声が聞こえる
「……………祥さ酔ってる?」
「酔ってらいよ〜っ!元気らもんっ!」
「…………はあ…周りに人いないの?」
「んー…………あ!瑞生しゃん!瑞生しゃんっ!」
ガタガタっと電話口からけたたましい音がして耳から離す
きっと携帯を落としたんだろうと思い着替えながら電話していた俺はスピーカーにして着替え直した
…瑞生ってあいつか……また何かするようには思えなかったけど…
何だか焦燥感が沸き立ち初めた時に電話口からキャッキャと俺の気持ちとは正反対の楽しそうな声が聞こえた
「…っ……もしもし?」
スピーカーから祥とは違い落ちついた声で呼びかけられる
「…もしもし、直輝です」
「あ………この前はどうもね〜、祥の事迎えに来てくれない?」
「…………はい、場所教えてもらえますか?」
俺は腹のそこが読めない瑞生ってやつの返事にモヤモヤするがとにかく一刻も早く祥を連れ去りたくて場所を聞いて駆けつけた
祥が働いてるサロンの近くにあるカラオケで何やら祥の合格祝いか何かで来ていたらしいが途中酔ったオーナーが可愛がってる祥にグイグイ飲ませて二人で盛り上がってしまったそうだ
「らおきー!!!」
「っと、あぶね…」
言われた部屋番号に向かう途中祥が俺を見つけて抱きついてきた
全力でアタックされて少しよろめくが祥を腕の中に抱き留めるとグリグリと頭を擦って嬉しそうにしている
あー可愛いなぁ…なんて思ってたら祥の奥からあの日見た派手な髪をした整った男がこちらにやってきた
「……さっきはどうも」
「いいえ〜祥酔っちゃって大変だけどよろしくね」
「こっちこそすみません、ご迷惑をおかけして」
飄々と笑っていて目の奥が読み取れない瑞生ってやつに頭を下げて鞄を受け取り帰ろうとしたとき呼び止められた
「…直輝くん意外と大人なんだね」
「どういう意味ですか」
「俺と居るってわかったら噛み付かれると思ったんだけど、案外サラッとしてるから」
「……………べつに…コイツがあんたの事好きだからってだけで、深い意味なんかないっすよ」
「ふーん、俺がまだ祥の事好きって言ったら?」
「……………正々堂々受けて立ちますけど?まあ俺が負けるなんて有り得ないけどな」
真剣な目をして俺を見てくる瑞生に笑って返す
「ぷっ、あはは!大丈夫〜俺もうちゃんと祥とは先輩後輩だから…それに俺は俺でもう前に進んでるから」
「…………そうですか」
「ふふっ、まあ何かあったら俺に相談しなよ」
そんなことを言い出すそいつに不覚にも驚いてしまった
「俺も一応君らの事応援してるってこと………後、あんたじゃなくて俺は椎名瑞生だから覚えといて」
「…………考えときます」
「あははっ生意気だね〜じゃあ俺は直ちゃんって呼ぼうかな?」
「は?」
「ふふっじゃあね〜なおちゃん」
椎名瑞生はそう言うと俺に背を向けヒラヒラと手を振り帰っていった
何だあいつ…
意味分かんねーやつだな
俺も胸に抱きついたまま眠りかけてる祥をおんぶするとカラオケから出る
変装も何もせずマスクだけで来てしまったから近くのタクシーを捕まえて家に帰った
俺の家に着いて眠っている祥をソファに下ろす
うーんなんて言って寝返った時にめくれた祥のカットソーからおへそと鎖骨が見えていた
ムラっとするのを抑えてコップに水をいれると祥の元に行く
祥が寝ている頭側に腰をおろしてやると俺に気づいた祥がふにゃんと笑って膝枕をねだってきた
膝を貸してやり頭を撫でてやると祥の左耳に付けられたシルバーのピアスがキラキラと光っている
くせっ毛で緩くウェーブのかかった長めの襟足から覗いているうなじが白くて噛み付きたくなった
こんな綺麗で細い体の祥が顔を歪めて鳴き乱れている事を思い出すとゾクゾクとしたものがかけめぐる
「祥起きて水飲めよ」
「ん〜?」
俺を見上げてパチパチと熱っぽい目で俺を見上げてくる
「直輝が飲ませて〜」
「………」
「直輝がチューして飲ませてくれたら飲むー」
クラッと目眩がした
絶対にいつもなら言わないような事を祥が可愛くてエロくて虐めたくなるよう顔して俺を見上げて笑っている
今すぐにでも抱き犯してやりたいが折角だしまだまだ可愛い祥を堪能してからにしようと思い口移しで水を飲ませてやった
「んぅっ…ん〜……もっろ…もっろちょーらい…っ」
「腰抜けてもしらないよ?」
「いいもーん…直輝に抱っこしてもらうもん」
にぃっと笑ってそう言うと祥は俺の頬を手で掴んで引き寄せる
そのまま少しアルコールの味がする祥と長くキスをして離れた
「……はっ、えーろ」
「んぅっ…らおきぃ……勃っちゃった…」
とろとろに惚けた顔をして祥は足を擦り合わせる
そろそろもう限界だベットに行こう
そう思った時急に祥が起き上がり俺の鎖骨に噛み付いてきた
「っ」
「…んーー……あはっキスマークつけちゃった〜」
ピリッとした痛みが走ったところを祥がペロペロと舐めてくる
そして顔をあげ可愛い顔して俺を見上げ尋ねた
「なお、俺の事好き…?」
そう言って小首を傾げて聞いてきた。
これが一連の流れでその後直ぐに今に繋がるわけで…
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