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「ん、耀さん、くすぐったい」 「……瑞生、もうお喋りはお終いな」 不意に耀さんが酷く大人の色気を漂わせて俺の口を手で塞ぐ 黙って抱かれるとか御免だと思っていたが耀さんになら好きにされてもいいかもしれないなんてことを思った 「…耀さんキスしてよ」 「………」 強請れば言葉での返事はないけど熱く色香のある瞳が俺を見下ろしてきて触れるだけのキスをされた 何度も何度も角度を変えて優しく触れるだけのキス ちゃんと欲しくて口を微かに開いても耀さんは未だに触れ合うだけのキスしかしない たまらなくなって俺から舌を絡めようとした時耀さんの熱い舌が俺の唇のふちをなぞった ピクッと体が跳ねたのがわかる 形を確かめるように舐め取られて、下唇を軽く噛まれる それだけで全身が熱を持ったように熱くなってきて息が上がってきた 興奮してきた俺にさっきまで涼しい顔をしていた耀さんが意地悪げににいっと笑い見下ろして来るのを見て全身にぶわっと鳥肌がたつ キスまでも焦らしてきて俺が興奮するまで煽ってこの人は楽しんでいた それを知った瞬間心臓が速く動き出してさっきまでとは比較出来ないほどに興奮する 途端に唇を噛んできた耀さんが俺の口の中に舌を潜り込ませてきて驚く俺の頭を撫でながら優しく舌を絡めてきた ちゅっちゅっと鳴っていた可愛らしいさっき迄のリップ音とは違くてクチュクチュと頭を犯してくるいやらしい音にボーとしてくる 舌の裏を刺激されて歯列をなぞられて上顎をくすぐられて舌を絡め取られて 今迄で一番耀さんのキスは気持ちよかった 「んっ……はぁ…、耀さんキスうまいよね」 「どーも」 ふっと鼻で笑う耀さんが俺のシャツを脱がしてズボンも下着もはぎ取られた 「俺全部脱いじゃって大丈夫?」 「脱がなきゃ出来ないだろ?」 「うん、だけど萎えない?」 俺は別に祥みたいに綺麗な顔をしているわけでも女みたいに胸があるわけでもないから大丈夫か心配になる 「萎えねーよ、今の瑞生の顔最高にそそる」 「――っ」 前髪を掻きあげ舌なめずりをする耀さんにドキッとした 耀さんの髪を掻きあげる仕草好きかもしれないと思ってさっき言われた言葉が蘇る 本当だ、俺、耀さんの何かばっかり褒めてる……… 黒が似合う所を褒めたり 刺青を褒めたり 仕草を気に入ったり 意識してなかったけど耀さんの言う通りだったことに少し可笑しくて顔がゆるんだ 「何笑ってんだ?」 「ふふっ、別に何もないよ」 にっこり笑って流すと耀さんは特に気にした様子もなく俺の首筋に顔をうずめてちゅっとキスをする ただキスを降らすだけでキスマークをつけては来ない そのまま下に降りていって両胸についてる突起物を口に含まれた 全体を温かい口の中に含まれてじんと腰が痺れる 吸われながらザラザラした舌で乳首の先端を舐められてくすぐったい しばらく舐められたり吸われたり押しつぶされたりし続けて、反対側は指で違う動きで乳首を弄られた カリッと少しだけ強く耀さんに乳首を噛まれた時腰がひくんっと跳ね上がる 「――っ!」 「………」 未だに俺のを口に含んだままチラっと目だけを俺に見上げたまま再び乳首を噛まれた さっきと同じく体が跳ねあがり広いベットのスプリングがギシッと音を立てる 反対側の乳首はカリカリと引っかかられ続けて声が出そうになった俺は手で口を抑えた まさか乳首でこんなに気持ちくなるなんて思ってなかったし今迄触られてもそんなに気持ちよさを感じた事もなかったのに驚く ちゅっと音を立てて離れていく耀さんの下から外に現れた乳首は見たことないくらい赤く腫れていていつもよりも大きく勃ち上がっていた 「瑞生敏感だな」 「俺、そこ弄られて気持ちいいて思ったの初めてだけど」 「嬉しいこと言ってくれんじゃねーか」 「痛くしたら俺が耀さんのこと掘るからね」 頭だけあげて俺の上に乗っかっている耀さんを見つめてそう言うと、耀さんはイタズラっ子のように笑った 「俺料理もうまいけどセックスもそれなりに上手いから心配すんな」 「へ〜なら楽しみにしてる」 今迄色んな人とこういう事してきたけど 耀さんみたいな人は初めてだった 欲情してただお互い気持ちよくなることだけ考えてキスして体重ねてはい終わり そうやってグルグル色んな人と交わってその時だけの愛情の渡し合い 耀さんみたいにセックスするのか談笑してるのかわからないようなこの緩い空気は悪くなかった それに耀さんの悪戯に笑う子供っぽい顔も 不意に見える色気の含まれた微笑みも 付き合ってるわけでもないけど 俺が緊張しないように解してくれてんのすごい伝わる 今だけ何だろうけど大事に扱ってくれてんのも凄く伝わってきた …………この人にもたった一人だけの好きな人って存在するんだろうか? もし居るんならきっとその人は耀さんに愛されて、その人も耀さんを愛して幸せなんだろう

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