今だって隙あらば俺が八神を抱く事もできる。 でも、もう俺にその気はない。 俺は知ってしまった。 確かに痛いし、苦しいし、腹下すし、最悪な事も多い。 でも、直接感じる体温だったり、鼓動だったり、脳ミソ腐りそうな程の快感だったり… だから今更、俺にそれを与える八神を抱こうなんて気持ちにはなれない。 「蹴人、身体は大丈夫なのかい？」 「身体？」 「辛くはないかい？」 そう言って、八神は優しく笑って俺の頭を撫でた。 声だけじゃなく、その手の動きそれすらも優しい… 俺はいつも八神がするように八神の顔中にキスをした。 優しく… そっと… それを何度も繰り返した。 そうしてる内に、八神の唇に捕まって激しく貪られた。 「んッ…ふ…」 呼吸を奪うようなキスに、粘着質な音が部屋に響いて、頭がクラクラする。 唇が離され、閉じていた目が開いた時には俺は八神の顔を見上げていた。 「見上げた時の蹴人も可愛らしいけれど、こちらの方が見慣れているせいかしっくりするね…」 「可愛いとか、言うな…」 「仕方がないよ。本当の事なのだから。君はとても可愛らしいよ…」 こうやって同じ言葉を繰り返すオウムみたいに可愛い可愛いって訳の分からない事を言いながら顔中を啄む… 八神は、俺の黙らせ方をよく理解している。 「八神…」 俺の口元から漏れた声は、誘うみたいに甘ったるい声だった。 これが自分の声なのか疑うくらいだ。 「どうしたのだい？蹴人…」 俺が触ったせいで完勃ちしている八神のチンコに俺のチンコを擦り付けて誘う。 「なぁ…八神…」 「うん？…セックス…したくなっちゃったのかい？」 「…」 「素直で、可愛らしいね…」 セックス… そんな言葉すら甘い… そう言って八神は唇を啄ばんだ。 その後、また顔中に降ったキスも甘かった。 俺はこの指に触れられるのが一番気持ちいい… 俺を甘やかすこの指に興奮する… ただ頭を撫でられただけで、下半身に熱が集中し始めた。