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第34話

楽になったのも束の間、俺の腹が盛大に鳴った。 「なんとも、君らしいね。」 八神がクスクス笑う。 ムードもなにもあったものじゃない。 「だ、黙れ。仕方ないだろ、これこそ生理現象だろ。」 「朝食にしようか。」 「俺、動けない…」 「お持ち致しますよ、お姫様。」 「死ね。誰が姫だ、誰が。」 「すぐに戻るから待っておいで。」 八神が軽く額にキスをするとベッドから下りた。 「つかお前、その甘勃ちしたやつはどうするつもりだ。」 「え、あ、うん…その内戻るよ。」 八神が少し困ったように苦笑した。 「甘勃ちとか辛くないか?」 甘勃ちを放置なんて俺には考えられない。 年を取るっていうのはそういうものなんだろうか。 「辛くないと言っては嘘になるけれど、大丈夫だよ。」 「…その、挿入れるのは厳しいけど、ヌくの手伝うくらいはしてやる。」 俺は何を言っているんだろう。 それは、冷静に考えたら、あまりにも恥ずかしい言葉だ。 「君は…本当に…」 八神が苦笑しながら俺を見た。 「な、なんだ…」 「可愛らしいね。」 「黙れ。…で、どうするんだ…」 「どうって…」 八神が照れくさそうにするから言った俺まで照れくさくなった。 「あーもう、面倒くさい!」 痛む腰とケツに鞭打って上体を起こすと、手を伸ばして服越しに八神のチンコを摩った。 「…ッ…」 「なぁ…どうして欲しいんだ?言ってみろ…」 その言葉に八神の顔がみるみる赤くなっていった。 「…俺を、楽にして…」 八神の声は、いつも通り甘くて、いつもよりか細い… 「了解。」 可愛いのはどっちだ…と言いたくなる。 甘勃ちを、窮屈になるまで摩って、ベルトを外し、スラックスと下着を引き摺り落とす。甘勃ちどころじゃなくなった八神のちんこを握ってやんわり扱く。 「…ッん……」 八神は口元を手で押さえながら切羽詰まった顔で声を堪えていた。 「こんなにしといてその内治るって?」 「…っン……君が、触れたから…だよ…」 こうなれば本領発揮だ。 「声、聞かせろ。隠すな。」 「…恥ずかしい…よ…」 「今更だろ。俺に毎回恥ずかしい思いをさせといてよく言う…」 先走りを絡めながら軽く扱いたあと、先端を手で包み込み、手の平でグリグリ刺激する。 「…ふ…んン…ッ…」 八神の口元から甘い声が漏れた。 こんな時の声まで甘い。 八神は一体どこまで甘ければ気が済むんだろう。 「たまには、俺にも遊ばせろ…」 ケツに痛みは残ってる。 怠いのも確かだ。 でも、それ以外に興奮が勝っていた。 強引に八神の腕を掴んでベッドに引き摺り込んで、組み敷いた。 「…ッ…」 八神は状況を理解してないのか、俺に敷かれながら目を見開いていた。 「なかなかいい眺めだな。お前の顔がよく見える。…俺はこの顔か嫌いじゃない。」 思わず舌舐めずりをする。 八神はぶっちゃけタイプの顔だ。 好みの男を組み敷いている… そう思うと酷く興奮した。 出会い方を間違えなければ、俺がこうして八神を組み敷いてよがらせていたかもしれない。 そう思うと悔しくなった。

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