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第55話

この場所が玄関である事を思い出した。 汗が引いて肌寒さを感じる。 蹴人も寒い筈だ。 もう少し蹴人と繋がっていたいという気持ちを抑え、蹴人のナカから俺のモノを抜き、冷えてしまった身体を抱き上げた。 抱いている手に何かが伝った。 俺が蹴人のナカに放ったモノだろう。 少しでも蹴人のナカにとどめておきたいと蹴人のお尻をキュッと閉じさせた。 「お、おい、なんだ。」 「俺のモノが出てしまわないようにね。」 「はぁ?離せって!」 その行為には蹴人も抗議の声を上げた。 「今日はね、君のお腹がパンパンになるまで逃がさないつもりだよ。」 「バッカ…腹下すだろ!」 「そうなってしまったら、俺が看病するよ。…それと、もれなく俺の特製の美味しいお粥が付いてくるよ?」 「うぅ…」 「さぁ、どうするのだい?」 「…好きにしろ…」 「ふふ、その答えは君らしくてとても素敵だ…」 蹴人を寝室に連れて行き、ベッドに下ろして組み敷くと、その後はお互いに疲れ果てるまで何度も抱き合った。 抜く事もなく、何度も… 何かが顔を触れている感覚… 部屋が明るい… 人工的な光ではなく、優しい光… 朝… どうやら眠ってしまったらしい。 下半身には、きつく締め付けられているような感覚… 俺達は、まだ繋がったままのようだ。 薄く目を開くと蹴人が俺の下顎当たりを触れていた。 とても楽しそうだ。 俺は触れ慣れた蹴人の髪を撫でた。 「…こら、…遊ばないの…」 「…起きたなら言え…」 蹴人の声は心なしか枯れていた。 「蹴人、声…」 「…お前のせいだろ…」 「そうだね、俺のせいだね。」 「つか、お前も遊ぶな。」 蹴人の髪を撫でていた手は無意識に蹴人の猫っ毛を絡ませていた。 それはとても指先に馴染んで可愛らしい。 「よいでしょう?」 「…つか抜くぞ。」 「嫌だ。」 「…ガキか。」 「君の真似だよ。…俺としてはもう少し繋がっていたいのだけれど、仕方ないね…」 「ッ…」 蹴人は眉を寄せた。 抜いたばかりのその場所からポタポタと俺のモノが溢れシーツを汚していった。 「ここからの眺め、なんだかとても唆られてしまうね。」 「知るか!…つか、俺がシャワーしてる間に約束のお粥作っとけ!!いいな!」 「覚えていたの?お粥。」 「当たり前だ。あとコーラも。喉が痛い。」 「炭酸でない方が良いと思うのだけれど。」 「喉が痛い時は炭酸。黒木家ではそう決まってる。」 「分かったよ。用意しておくね。」 蹴人はゆっくりとベッドから立ち上がり、寝室のドアノブに手を掛けた。 「…ねぇ、蹴人…」 「黙れ。」 「君の事をとても、愛しているよ。」 「…」 蹴人は何も応えぬまま寝室を出て行った。 「…可愛らしすぎて、困ってしまうよ…」 この先も蹴人は素直でないだろう。 そのようなところも全て含めて… これから先もずっと… とても可愛らしい君を… 「…愛しているよ。」 願わくば… この先も永遠に… この気持ちを伝える事が出来ますように… 俺はゆっくりと目を閉じその言葉を噛み締めた。 - 総一郎side end -

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