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第11話

しかし、触れたものは手ではなく、頬も痛く無くて。唇にただ、優しく柔らかい物が触れているだけだった。 「へ……?」  うっすらと開いた視界には天子の髪の毛がふわりと揺れ、微かに潤んだ目が俺を睨んでいた。 「あま、こ……?」 「僕も茂木くんが好きなの!犯人をみつけようとして罠貼ってたら、茂木くんが僕の物盗んでるって知って。どうやって懲らしめようか探ってたら好きになっちゃったの!」 「え?ぇぇぇぇえっ~?」  一気に色んなことが押し寄せて頭が混乱しそうだ。天子が俺の事を好き?勘違いじゃなかった?俺と天子は両思いで。これから恋人同士になるの? 「茂木くん大好きだよ」  天子の甘い声が聞こえて、口呼吸が出来なくなる。 「だから、僕から離れるなんて絶対に許さないんだからね」  天使の様に笑う天子の顔。やっぱり俺は川に飛び込んだのかもしれない。

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