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第1話

真っ暗な──湿度の高い部屋の中。流れる汗を拭いもせず額に髪を貼り付かせた俺は多分、獣のようなギラついた目をしている。 夜の闇で視線を一点に見据えたまま考えているのはあいつの事。 一切の抵抗をこの手で制し封じ込め、ブチまけてやりたい。溺れそうなくらいに溢れ返る激情を。 このドロドロの汚物みたいな欲望が、愛とか恋なんていう甘ったるいモノだなんて言うつもりはない。あるのは執着と渇望。 顎に溜まった汗がポタリと落ちて抱えた膝に染みを作る。 呪いたくなる蒸し暑さの中で、クーラーをつけずに何かを耐えている気になっている自分を嗤う。 こんな事でこの薄汚い気持ちが(ゆる)される訳でもないのに。 あいつは、こんな俺を知らない──

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