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第25話 ね
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「神津、まじで言ってんの?」
柳瀬川は屋上のベンチに寝ながら、フェンスに凭れる神津に聞き返した。
「樋口にだって飽きてるやつがいる。どうしても樋口がいいというやつだけ樋口を抱かせればいいだろ」
「高宮はねぇだろ。女っぽくねぇよ?しかも色気もない」
柳瀬川は顔を顰めて、苦笑したけれど、その笑みはどこか引き攣っている。
「その方が調教し甲斐があるだろう?柳瀬川、お前なら出来るだろう?」
「・・・・・・高宮おもしろくねぇんじゃねぇの」
「・・・・・やりたくない・・・・って?」
神津が冷たい眼差しを柳瀬川に向けた。
「・・・・そうは言ってねぇだろ。わかった。喜んでやらせてもらいます」
機嫌を損ねるのはまずかった。直接柳瀬川自身になにかあるわけではないけれど。
「そう、それでいい」
神津の口元に笑みが戻るのを見て柳瀬川は内心、舌打ちをした。
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