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第1話
ある日、俺の声は出なくなった。
どうしてかはわからないけど、周りの人はただ可哀想と言った。
医者によると、ストレスや何かの恐怖によるものだと言われた。
今、俺は大学三年生である。来年からは本格的に就職のことも考えないといけない時期だ。
しかし、俺はもう就きたい所は決まっている。
ー 獅子堂 アフターケア SB ー
ここは精神や、心を優しくケアする、いわば、
精神病院だ。
俺も、ここの先生によくお世話になったので、ここで俺みたいな人をアフターケアをしたいと思っている。
(声が出ないから大変だけど、きっとそれを認めてくれる人はいるはず。)
どん!
「いったぁ!…。」(どうしよう…謝れない‼)
「…君は、澄田 季里君かな?」「⁉」
「あ、ごめんね。僕は 獅子堂 司 。獅子堂
アフターケア SBの社長です。」
(わわ!どうしよう…社長さんだったとは。)
「あぁ…僕にぶつかったことに心配しているんだね。」 (コクコク)
「大丈夫だよ。…でも、僕がぶつかったところ赤くなってるね。」
そう言うと獅子堂さんは僕の鼻を撫でる。
(俺は大丈夫です‼)
「手当てするから、僕の家においで。」
獅子堂さんは俺の手を取ると近くの車に乗り、
スーツの男の人に「出てくれ。」とだけ言った。
「社長、まさか誘拐ですか?」「…。」
(えっ?えっ⁉)
「はぁ…。私はもう知りませんからね。」
「…。」
(…?)「初めまして。私は社長の補佐 二ノ宮 雷斗 と申します。」
(あっ…俺は「澄田 季里さんですよね。」
( ⁉ )「昔、従業員の方と話したことがあったので。」(なんだ~。ビックリした。)
「…まだ?」「もうつきます。」
(? 獅子堂さん機嫌が悪い?)
「どうぞ。」と二ノ宮さんが車から降ろしてくれる。
そこから、エレベータに乗り奥の部屋へと連れていかれる。
「季里。おいで。」
(何でだろう。こんなにも心が切なくなるなんて。)とモヤモヤしているうちに獅子堂さんは俺を抱きしめていた。
「大丈夫だよ。なにも怖くない。」
そんなことを言われるとなんだかドキッとした。(あの、手当ては…。)
「手当て?あぁ…そういえばそんな理由でつれてきたんだっけ。」
(⁉ う…そ、だったんですか?)
「うん。ごめんね。そうでもしないと季里は行っちゃうでしょ?」
(に、逃げなきゃ…。)とドアに手をかけるも
鍵がカードで内側からもかけられるものだった。
「こーら。逃げちゃダメ。」
(離して‼…。)ジタバタするもしっかりと抱きしめられていて逃げれなかった。
「今日から、ここが季里の家だから。」
(…⁉…)
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