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第6話
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つぎに意識を取り戻すと、そこは大きなベッドのうえだった。
確か僕は馬車に押し込められ、それから大きな鳥に食われたはず。それがどうしてベッドなんかに寝ているのかと、ジュリオは大いに混乱した。けれど今は場所など二の次だ、もっと大きな問題がある。
ゆっくりと上体を起こしたジュリオは、身体を触診して無事を確かめる。どうやらどこも怪我などしておらず、五体が欠けるような事態は免れたようだ。ほっと息をついたところで、はたと不可思議なことに気づく。
目覚めた場所に気を取られていて気づかなかったが、無事を確かめるのに着衣を脱がなかったのだ。つまりは一糸まとわぬすがたであり、裸体を晒して眠っていたことになる。
「うそ……僕の服……」
いつの間にか裸となっていた自身の痴態よりも、苦しい家計にもかかわらず切り詰めて仕立ててくれた母の愛情がこもった服を失ったことのほうが、よっぽどジュリオにはショックが大きかった。
母親の案じた通りだと今更ながらにジュリオは後悔する。
そそっかしいから周りにはよく注意しろと言われたにもかかわらず、馬車の存在に気づかず司教の怒りを買い、あまつさえ怪鳥に襲われてしまうという結果となったのだ。
僕の命は自分だけのものではない。ジュリオはうつむき懺悔をする。
もしも命を粗末にするようなことになれば、これまで育ててくれた母親を悲しませることになる。それにジュリオの幸せを願う多くの者が、悲しみに暮れ傷つくのだ。
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