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第24話

 6  つぎに目が覚めるとジュリオは自分のベッドにいた。  見慣れた天井と部屋の匂いが安堵を齎すとともに、心の大切な部分が欠けてしまったような欠如感と乾きに堪えられず、身体を丸め自身を抱きしめながら痛みから逃れようとする。  いつの間に彼のことをこんなにも好きになっていたのか。部屋にとじ込められ怖い思いだってさせられた。それなのに思い出すのは彼と過ごした楽しいひとときだけ。  思い返せばいつも彼はそばにいてくれた。それはジュリオが淋しくないようにとの、バルバトスなりの優しさだったのだろう。  ジュリオは初めて恋というものを知った。叶うことのない恋だったが、それでもジュリオにとってはかけがえのないもの。ありがとう、大好き。まぶたに焼きついて離れない彼にそう伝えると、涙ですべてを流してしまおうと目を閉じた。  ジュリオが魔界に連れ去られてひと月が経つ。けれども実際に過ぎていた時間は一日と短く、どうやら魔界と人間界では時の流れが違うようだ。母親もジュリオがひと月も行方知れずだったなど到底思うはずもない。  いつものように母親がジュリオを起こしにくると、ふたり慎ましやかな朝食を済ませ仕事に向かう。ジュリオも今日から町の外れにある製粉所で働くことになっている。小麦の善し悪しを精選し、夾雑物を取り除く作業をするのだ。

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