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第2話
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ぼくの兄ちゃんはすごく格好いい。通っている高校の女子だけじゃなく、他校の女子にも兄ちゃんのファンがいるって聞いた。だけど兄ちゃんのモテっぷりは女子だけでなく、男子にも隠れファンがいるっていうじゃないか。
けどいくら兄ちゃんがモテようが、どれだけアリんこみたいに集ろうとそんなの関係ない。兄ちゃんにとっての一番はいつもぼくってこと、そこが重要な問題であって他のやつなんて目じゃない。
要するに兄ちゃんはぼくが大好きで、ぼくも兄ちゃんが大好きってことだ。そういうのを”ソウシソウアイ”っていうんだって兄ちゃんが教えてくれた。けどソウシソウアイっていったいなんだ?
兄ちゃんは色んなことをぼくに教えてくれる。たとえば銀河系には二千億個の星が存在することや、うぐいすが鳴くと平安京になるってことも教えてくれた。それに学校では習わないことも教えてくれる。
そのうち保健の先生が特別な授業をしてくれると兄ちゃんは言っていた。けど兄ちゃんのいう”特別な授業”とは、きっと性教育のことだと思う。だから「もうぼく授業受けたよ」と兄ちゃんに話したら、そんなもの特別でもなんでもないって。
「子供だましみたいなものだ」なんていうものだから、ぼく腹が立っちゃってこう言ったんだ「だったら大人の特別授業ってなんなのさ」と。すると兄ちゃんは「もう少し大きくなったら教えてやる」だって。
きっと兄ちゃんはぼくを馬鹿にしているに違いない。そりゃあぼくはまだ十歳で身長だって高くない。正直に告白すると、朝礼では前から三番目だ。それにくらべ兄ちゃんは身長が高くて、高校に通っていて歳は十八歳。
歳や身長では絶対に兄ちゃんには敵わない、でもだからといってぼくは子供じゃないやい。
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