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第3話

 そこで兄ちゃんに言ってみた、ぼくに隠し事するなんて卑怯だぞと。いつだってぼくらは秘密をシェアしてきた。どれだけ些細なことも隠さず楽しみを分け合う仲だ、ただ子供という理由だけで教えてもらえないなどフェアじゃない。  すると兄ちゃんは「一度知ってしまえば後戻りできないぞ。怖くて泣いてもしらねえからな」とぼくを脅す。そんな手に引っかかるものか、上等だ受けてたってやる。悔しさもあり勢いで言ってしまった「怖くないやい」と。  ぼくが堂々と宣言したのに、兄ちゃんは信用してないのか半笑いでこう言う、「ほんとうに怖くねえと思うなら、つぎの日曜に俺の部屋に来い」と。やった、おとなの話が聞けるぞ。嬉しくて思わず兄ちゃんに抱きついた。  そのときは分からなかったけど、今から思うと兄ちゃんの股間は膨らんでいた。ぼくの腹に当たるのが兄ちゃんのフル勃起チンコだなんて、そんなこと考えてもみないよふつう。いいとこベルトのバックルぐらいに思ったさ。  でも違った。兄ちゃんはぼくに興奮しておっ勃てていたってこと、これから教えてもらうおとなの特別授業で嫌と知ることになる。ひとつ訂正しておくと、決して兄ちゃんは変態なんかじゃない。ただぼくのことが好きなのさ。  それにぼくだって兄ちゃんが大好きだ、好きな相手にチンコを勃たせたって悪くはない。気持ちが目に見えて表れるのは男がデリケートだからだ、それが分かってぼくはすごく嬉しかった。  だからいくら兄ちゃんに声をかけたって無駄ってこと。兄ちゃんが宇宙一好きなのはぼくだけだ、どんな美人やイケメンが言い寄っても兄ちゃんを落とすことなどできやしない。兄ちゃんをひとり占めできるのはぼくだけだ。

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