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第4話
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今日はまちに待った日曜日。
どうしてか父さんや母さんがいては教えられないと言われ、ふたりが仲良く買い物デートに出かけるのを昼まで待つ。これでは蛇の生殺しだと思いながらも、ぼくは利口にも兄ちゃんの言葉に従うことにする。
ぼくと兄ちゃんの部屋は二階だ、手っ取り早く耳もとで話してくれたら一階にいる父さんたちには聞こえないのにな──そんな疑問が浮かびはしたけど、極力考えないよう学習デスクで宿題をして過ごした。
そしてやっと昼をむかえた。父さんと母さんは日曜になると買い物に出かけ、外で昼ごはんを食べて夕方に帰ってくる。だからいつもキッチンのテーブルには、ぼくらの昼ごはん用に千円札が二枚置かれている。
それでバーガーショップに行ったりファミレスに行ったり、コンビニで買い食いすることもあるしスーパーで材料を買って兄ちゃんが昼ごはんを作ってくれる日もある。
ここだけの話、兄ちゃんは料理がうまい。そんなことがもし学校の女子に知られでもしたら、きっと家まで押しかけてくるぞ。料理男子がモテることぐらい小学生のぼくだって知っている、だからなんとしても隠してもらわなきゃ。
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