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第7話
店の狭い長椅子の上で、正晴さんとキスをしながら抱き合っている。たくし上げられたTシャツが邪魔で脱ごうとしても、絶え間なく続く愛撫に身動きが取れずにいた。
俺は心も身体も求めてくれる親 しい存在に張り裂けそうなくらいの切なさを感じている。
「勃ってるね。興奮してきたかな」
膝の間に足を差し込まれ、ぐりぐりと刺激される。
「ぁぁっ……あんまり、強くしないで。こんなとこで、イッちゃうよ…………」
「それもそうだ。ここはお客さんが食事をする場所だ。裏へ行こうか」
正晴さんにも常識はあったと胸を撫で下ろす。ロッカールームへ入ってすぐ、俺の左腿を高く上げた。身長差があるため、正晴さんが深くかがんで俺のを咥え、後孔へ指を入れる。片足で立ってるのは辛いけど、やめられるのはもっともっと辛かった。
「ふぁっ、あ、それ……ぁ、ぁ、いい……」
「いい声だね。本当はもっと聞いていたいけど、ごめん……今日は我慢出来そうにない」
くるりと裏返しにされて、お尻を突き出す格好を取らされそうになったので、その前に正晴さんと向かい合う。後孔がヒクヒクとしてすぐにでも受け入れたい状態だけど、確認しておきたいことがあった。
「……正晴、さん……俺の特別になってくれますか……」
「…………一緒に暮らし始めてからずっと、特別な存在だよ。今までも、これからも一槻より大切な人はいない。全身全霊で愛してるよ。こんな僕を受け入れてくれるかい?」
俺は、返事の代わりに心を込めて口付けをする。愛しい愛しい俺の正晴おじさん。
「おじさん……大好き」
「こら『おじさん』はもう禁止だって」
「分かってる。正晴さんのコレ早くちょうだい」
「その上目遣いは計算かい?お望み通り、あげるよ」
「……ん、ぁぁ、おっきい……ぁ……」
素直にお尻を突き出すと、いつもよりも幾分か質量を増した雄が、ゆるりと力強く挿ってきた。間もなく痺れるような律動が始まる。
俺を慈しみ育ててくれたことは、身体にしっかりと刻まれている。後に、正晴さんは俺と一線を越えたことを後悔していると冗談ぽく言っていた。だが、向こうがやらなくても、遠からず俺が迫っていたと思う。
初めて会ったときからずっと、俺の心は正晴さんに囚われていたんだ。包み込まれるような柔らかな笑顔に、胸がはち切れそうになったのを覚えている。
こうして、表向きの俺は落ち着いた。
正晴さんの昂りは治まることがなく、俺の中で優しく暴れている。ロッカーにしがみつくフリをして、自らの唇に触れてみた。
花火の下で情熱的に重ねた並木の唇。
正晴さんに上書きされてもなお、感触はくっきりと残っている。野性的な雄の匂いに、とても興奮した。もっと彼を知りたいと思った。
こんなにも他人を欲したのは初めてで、頭は混乱していた。もう、俺に挿っているのが正晴さんか、並木か分からなくなる。
夜はまだ長い。
俺は、愛しい人の存在を今まで以上に感じながら快感に耐えていた。
【END】
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