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第5話
「知りたい?」
ゴクリ。
俺の喉が唾を飲み込み、音をたてる。
射抜かれたように逸らせない、視線。
「……でも。
いまはまだ……秘密、だよ」
ふっと笑ったよしちゃん先生に、緊張を解いた……瞬間。
頬に、柔らかい感触。
「!?」
「食べかす、ついてたからね」
ニヤリ、よしちゃん先生が笑う。
みるみるあたまのてっぺんまで、上がっていく熱。
急に黙ってしまった俺の顔を、よしちゃん先生は涼しい顔して見てる。
――これは、よしちゃん先生から宜史に呼び名が変わる、二年前の話。
【終】
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