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第3話
「おっ。いい匂い。なんだよ、コーヒー? 俺も飲みたい」
斗真が小走りにテーブルにやってくる。腰を上げた悟は「それじゃ、飯の準備をするから、おまえらは相談でもしとけ」と言って厨房に入った。荷物を置いた斗真がついてくる。
「なんだよ。いまから飯を作んの?」
「半分くらい作っといて、戻ってくるのを待ってたんだよ。完成させといたら冷めちまうだろ」
「ま、そうだな」
コンロに火をつけ野菜餡をあたためつつ、ご飯をレンジに入れて別のフライパンでオムレツを作る。
「なに作ってんだ?」
「天津飯もどきだよ」
「ふうん」
斗真は三人分のコーヒーを淹れると厨房から出て行った。レンジからご飯を取り出し、とろとろに仕上げたオムレツを乗せて野菜餡をかける。
「よし」
トレイに乗せて運ぶと、和臣以外は目をまるくして丼をのぞきこんだ。
「すごい、うまそう」
「お店のご飯みたいです」
「みてぇじゃなくて、店の飯レベルの味だ」
さあ食えと匙を突き出せば、四人は行儀よく「いただきます」と言ってから食べはじめた。
「やべぇ、うまい」
「ほんと、おいしいです」
「悟さんって、料理が上手なんですね」
口々にほめられて、まあなと悟はまんざらでもない。
「だから、飯関連の厨房は俺にまかせてくれりゃあいい」
「それじゃあ、ご飯のメニューも決めなきゃですね」
匙をにぎりしめて、充がキリリと目元をひきしめる。
「予算ねぇんだろ? だったら日替わりでいいじゃねぇか」
「えっ」
「冷蔵庫にある残りモンで、なにが作れるか適当に俺が考えて、画用紙にでも書いて貼りだせば余計な金は使わなくてもすむだろう。どんだけ客がくるかわかんねぇし、メインはカフェなんだしよ」
なあ、と悟は和臣に同意を求めた。
「そうだな。予算の限界もあるから、そうしてもらえると助かるな。準備にどれくらいお金がかかるかわからないし、客入りも予測がつかないから。――みんなは、どう思う?」
「いきなりデカイことやってコケたくねぇから、それでいけるなら俺はいいけど」
どうよと言葉尻で斗真が充に問う。
「残ってる食材であれこれご飯が作れるって、すごいです」
答えになっているのかいないのか、充は微妙な賛成のしかたをした。
「うまくいくかどうかもわかりませんし、悟さんがそうしてくださるのなら助かります」
ふわりと目元をやわらげた翔太が、敬愛を含んだ視線を悟に向けた。和臣の頬がわずかに強張る。
(こいつら、仲が悪いのか?)
視界の端にとどめつつ、それじゃあそういうことでと悟は会話を締めた。
「あ。米を使っていいかどうか、店主に確認しといてくれよ」
「わかった」
「そんじゃ、とっとと飯を食って、ほかに決めなきゃいけねぇことを決めちまおうぜ」
「おうっ!」
威勢よく返事をした斗真が丼をかきこむ。充が「頼もしい助っ人でよかったね」と翔太にささやくのを、悟の耳が拾った。頼りにされてニンマリとする悟の脇腹を、和臣の肘がつつく。
(調子に乗るなってか? でしゃばりすぎて、邪魔にならねぇようにはするよ)
心の中で言いながら、悟はちいさく肩をすくめた。
店舗の二階にある座敷で胡坐に頬杖をついた悟は、はしゃぐ彼等の姿をながめていた。
(どいつもこいつも、なまっちろい体してんなぁ)
店の制服を作るために採寸をすると、二階へ移動した面々が下着姿になっている。手慣れた動作で採寸する充と、購入してきた布地を出してああだこうだと会話している輪の中から外れた悟は、ここにいても仕方がないので厨房のあちこちを細かく見ておくかと立ち上がった。
「あっ。どこに行くんですか」
「ん? 厨房をもっとしっかり見ておこうと思ってよ」
「採寸してからにしてもらっていいですか?」
「は? 俺もすんのか」
「もちろんですよ。制服は、全員が着るんです」
やる気満々の充から和臣に視線を移して、そうなのかと悟は目顔で問うた。静かに和臣が首肯する。そうかと悟は無造作に服を脱いだ。
「わ。すっげぇムキムキ」
満面を輝かせた斗真が悟の二の腕を掴んだ。
「石場さんって、鍛えてんの?」
「いんや。仕事してたら勝手についたんだよ」
ちょっと得意な気分になって、悟は力こぶをつくってみせた。すげぇすげぇと斗真が興奮し、充も頬を上気させて悟の肉体をほめる。翔太がうっとりと目を細めて、悟の胸筋に手のひらを乗せた。
「ほんと、すごくいい体をしていますね」
するりと翔太の手が滑り、腹筋を撫でられた悟は、うひゃっとちいさな悲鳴を上げた。瞳に艶然としたきらめきを浮かべた翔太にギクリとする。
(なんてぇ顔しやがんだ。男の俺でもドキッとしたじゃねぇか)
片頬をひきつらせた悟は和臣の不機嫌な視線に気がついた。目が合うと、ふいっと顔をそらされる。
(なんだぁ?)
筋肉自慢をするなと言いたいのか。しかし、そんなことで怒る和臣ではないはずだ。
(準備の邪魔だって思ったとか……? どうもしっくりこねぇが、ほかになんか機嫌を損ねさせた理由が思いつかねぇなぁ)
まあいいかと無遠慮に触ってくる三人の興奮をなだめて、さっさと採寸してくれよと腕を水平に伸ばす。メジャーを体に巻きつけられながら、悟は翔太の熱っぽい視線に心中で首をかしげた。
(そんなに俺の筋肉がうらやましいのか。だったら鍛えりゃいいのに……めんどくせぇのか、そんな時間がねぇのか。女みてぇな顔してっから、似合わないとあきらめてんのかもなぁ)
色香を含んだ翔太の視線を羨望だと片づけた悟は、採寸を終えた充に「それじゃあ、俺は下に行くぜ」と声をかけて階段を降りた。
「どうにも、妙な感じがするな」
階下に着いた悟は二階を見上げてつぶやいた。顔も見えないのに翔太の視線がクモの糸みたいに肌に張りついている気がする。
「まあ、いいか」
それよりも厨房の設備や料理道具だと、奥に入ってあれこれと物色をはじめた。フライパンや鍋を持ち上げて重さや扱いやすさを確かめ、おたまの種類やヘラ、調味料の数々や置き場所など、あちこち触りまわっていると採寸を終えた彼等が降りて来た。
「とりあえず今日できることは終わったから、解散にしようかって話になったんだけど。悟は? まだここでしたいことあるんなら、べつにいいけど」
「ん。おまえらが帰るってんなら、俺も出るわ。開店までは毎週集まるんだろ?」
「悟さんも、毎週参加してくださるんですか」
甘さを含んだ翔太の声に、わずかにたじろぎつつ「おう」と笑顔を返すとうれしそうに目を細められた。
(なんなんだ?)
妙に色っぽい翔太にとまどいつつ和臣を見ると、口元は笑っていたが目の奥に苛立ちが揺れていた。
「それじゃあ、今日はこれで解散にしようか」
さらりと和臣が締めの言葉を口にする。
「来週までに、衣装の仮縫いまでは終わらせておくね」
「そんなにはやくできんのか? 俺も手伝おうか」
「ありがと、斗真。それじゃあ、これから俺の家に来る?」
「おう、行く行く」
「悟さんは、どうなさるんですか?」
「俺? 俺は和臣と帰るけど」
なんでそんなことを聞くんだと悟がさらっと答えると、翔太はもの言いたげな流し目をした。
(なんなんだ、コイツ)
変なヤツだと思いつつ、悟はいじくっていた調理道具を元に戻した。
「カズはどっか寄んのか?」
「商店会長さんのところに鍵を返しに行くくらいだよ」
「そんなら、とっとと行こうぜ」
それを合図に全員が外に出て、それじゃあと入り口で別れる。
「なあ」
「なに」
「おまえと翔太はダチじゃねぇのか」
「なんで」
「いや、なんか」
メイド姿の女性からチラシを差し出され、受け取りながら「妙な感じに見えたから」と悟は続けた。
「妙?」
「ケンカってほどでもねぇけど、なんか微妙な空気じゃなかったか?」
もらったチラシから和臣に目を向けると、彼は意外だと言いたげな顔で悟を見ていた。
「なんだよ」
「いや……そういうものには鈍いと思っていたから」
「なんでぇ、そりゃあ」
ムッとすると、ごめんと軽く謝られる。
「でも、ほんと……そういうの気にならないと思ってた」
「これからいっしょに店をやってくんだから、そういうもんは気がつくし気にもなる。なあ、どうなんだ」
「うーん。悟は翔太をどう思う?」
「質問してんのはこっちだぞ」
「いいから」
ふうむと視線を斜めに持ち上げて、悟は翔太のあれこれを思い出してみる。目には現実にはあり得ない、鮮やかな水色の髪をした少女の大きなイラストが映っていた。
「あの絵みてぇなヤツだよな」
「は?」
「あの、ツインテールの水色の髪の女みてぇに現実味がねぇっつうか、ちょっと違った世界にいる気がするな」
「なに、それ」
「なにって……俺もよくわかんねぇよ。なんかそんな気がしたから、そう言ったんだ」
今度は翔太が考える顔になった。
「悟にとっては、違う世界の人間ってことでいいのか?」
「ああ、それそれ。なんか、そんな感じだな。いっしょにいるんだけど、なんか違う空気っつうの? なじめない感じがするな」
うんうんと首を動かした悟に、じゃあ俺は? と和臣が眉根を寄せる。
「は? カズがなんだよ」
「俺は、どう思う」
「どうもこうも……カズはカズだろ。ああ、そうか。雰囲気っつうか、空気感がなんか翔太だけ浮いてる気がしたんだよな。だから仲が悪そうに見えたのかもしんねぇ」
そっかそっかとひとり合点する悟に、和臣は奇妙に頬をゆがめた。
「まあ、なんだ。気が合わないとかじゃないんなら、よかった」
「どうして悟がそんなことを気にするんだよ」
「どうしてって……そりゃあ気にするだろうがよ。おまえの夢の一歩なんだからよ」
「えっ」
「店を持つのが夢だっつって、ガキのころから変わらず言い続けているじゃねぇか」
ぽんっと気軽に和臣の頭に手を乗せて、悟はニカッと口を開いた。
「それに俺は、借りた金をいいかげん返さなきゃいけねぇしな。計画がつぶれちまったら、俺も困るんだよ」
「……悟」
「まあ、そういうことだ。さとにぃがしっかりサポートしてやるから、なんかしっくりこねぇこととかあったら気軽に相談しろよ?」
「…………うん」
照れくさそうにうなずいた和臣の頭を、悟はグリグリと強めに撫でた。
(そういう顔は、昔っから変わらねぇな)
しっかり者に育ったとは思っても、まだまだ子どもが抜けていないと悟はなんだかうれしくなった。
なじみの居酒屋のカウンター席で焼酎を飲んでいた悟は、そうだと顔を上げて女将に声をかけた。
「なあ、女将さん。ちょっと聞きたいことがあるんだけどさ」
「はい、なんでしょう」
「値段設定って、どうやって決めてるんだ」
「おいおい、石場」
隣席の同僚が笑顔の片側を引きつらせる。
「いくら常連だからって、そんな質問は失礼だろう。なあ、女将」
「あらあら。いきなりどうしたんです?」
やわらかな物腰で、悟の母親ほどの年齢の女将は小首をかしげた。
「いやぁ……俺の弟分つうか、生まれた時から知ってるヤツが夢をかなえようとしててさ。その手伝いをすることになったもんで」
「説明になってねぇぞ」
あきれる同僚に指摘され、ええと……と間を取ってから言い直す。
「ガキのころから店を持ちてぇって言い続けてたヤツが、定食屋の定休日に店を借りてカフェをするってんで、その準備を手伝ってるんだけどさ。値段設定とか細けぇ部分をどうすりゃいいのかわかんねぇんじゃねぇかと思ったんだ。せっかく夢の一歩を踏み出すんだしよ。成功させてやりてぇんだよな。そんで、女将にちょっと教えてもらえたら助かるっつうか、なんつうか。まあ、そういうことなんだけどさ」
どうだろうと悟が目を向けると、そうねぇと女将は頬に指をあてる。
「そういう話なら、さらっと教えてやればいい」
聞こえていたらしく、店主が厨房から顔を出した。
「ほかに客が来ねぇうちに、さらっと言ってやれ」
「おお、大将。ありがとな」
「まっすぐ夢をかなえようって若者を支えてやりたいだなんて、いい心掛けだな」
「うん、まあ……あいつには世話になってもいるからさぁ」
「あらあら」
首に手を当てる悟に、女将がクスクスと手のひらで口元を隠す。
「まあ、そうですねぇ。カフェの値段設定というのは、わからないけれど……周辺のお店はどんな値段なのかを確認しておくと、いいかもしれないですよ」
「あ、ちょっと待ってくれ。メモするからさ」
慌ててスマートフォンを取り出した悟は、メール画面を開く。それを確認してから、女将は続きを口にした。
「利益をどのくらいと決めてから金額設定をする場合もありますけど、仕入れ原価に諸経費を加えて算出するといいんじゃないかしら。あと、値段で客層も変わってくるから、そのあたりも気をつけておくといいですよ。お店の雰囲気に関わってきますから」
「へぇ……なるほど」
同僚が感心する横で、悟はそれらを急いで打ち込んでいく。悟が打ち終わるのを待ってから、女将は付け加えた。
「もちろん、その界隈に多くあるお店の平均的な値段も重要ですよ? 安すぎても高すぎても地域のニーズに合っていなければ、お客様はあまりいらっしゃいませんから。けれど、そうですねぇ……なにか特別な付加価値があれば別ですけれど」
ちろりと視線で伺われて、悟はちょっと考えた。
「なんか、店の制服を手作りするとか言ってたから、なにかしらこだわりがあるんじゃねぇかな。ランドセル背負ってたころから店やりてぇ、菓子を作るつってるヤツだから、いろいろ考えてはいるんだろうけど、詳しくは聞いてないな」
表情で相づちを打った女将の横に、厨房から出て来た大将が並んだ。
「まあ、がんばんな」
悟の前にブリの照り焼きが置かれる。
「おっ?」
「俺のおごりだ。出世魚は縁起がいいだろう」
ニヤリとする大将に、違いないと悟もニヤリと返した。
「そんなら、成功を祈って焼酎をもう一杯もらうとするかな。女将、お湯割りの芋を頼むわ」
「おまえが店をやるわけじゃねぇだろう」
苦笑する同僚に、まあいいじゃねぇかと大将は白菜とレンコンのそぼろあんかけを出した。
「あんたには、こっちをおごってやるからよ」
「いや。そういうつもりじゃないんだけど」
「いいじゃないですか。おごってもらっときましょうよ。せっかく、くれるっつってんだから」
上機嫌でブリに箸をつけた悟は、同僚に酒の追加を暗にうながす。
「そんなら俺は熱燗を追加しようかね」
「ありがとうございます」
女将の礼を聞きながら、悟はメモしたメール画面をそのまま和臣に送信した。
日曜日。
和臣とともに定食屋に入った悟は、いきなり翔太に「ありがとうございます」と礼を言われて面食らった。
「なんだよ、いきなり」
「わざわざ調べてくださったんでしょう?」
「なんのことだ」
横にいる和臣に顔を向けると、もらったメールの内容を事前に彼等に伝えたのだと答えられた。
「ああ」
女将に聞いたアレかと納得をする悟を翔太が見上げる。
「そういう質問って嫌がられるものなのに、わざわざ僕たちのために聞いてくださって、ありがとうございます」
潤んで輝く瞳で言われ、悟は尻のあたりがムズムズした。
「いや、そんな大したことじゃねぇよ」
「教えてくれた方に、よくお礼をいっておかないとな」
翔太の雰囲気に吞まれかけた悟を、棘を含んだ和臣の声が引き止める。
「ん。おう、そうだな。まあ、そのぶんいつもより多めに呑んだし」
ブリをおごってもらったけどなと心の中で付け加えた悟の二の腕に、そっと翔太の指が乗った。
「そこまでしていただいて、ありがとうございます」
「いや、まあ……うん」
しっとりと色気を含んだ翔太の気配に居心地が悪くなりつつ、悟はさりげなく彼から離れた。
(なんなんだ、こいつは)
気持ち悪いどころか、悪い気がしない。美少女めいた顔立ちと濃艶な雰囲気が融合している翔太の怪しげな色香に、わずかにグラリと心が揺れてしまった。そんな自分にとまどう悟の頬に、和臣の不機嫌な視線が突き刺さる。
(なんで、そんな目で俺を見るんだよ)
充と斗真はこちらの不穏な空気に気づいていないのか、奥の座敷で布を広げてあれこれ言い合っていた。あちらのさわやかな空間に移動しようと、悟は大股で翔太から離れた。
「よう。それが衣装か。いろんな色があるんだな」
「イメージカラーって感じで、色違いにしようと思っているんです」
へえっと感心しながら、悟は充の手元に視線を落とした。
「戦隊ものみたいで、そういうのかっこいいんじゃねぇかって思ってさ」
「斗真の提案か」
「おうよ」
「ふうん。まあ、おもしろいかもしんねぇな」
「だろ?」
「誰がなに色になるんだ」
「それはこれからの、お楽しみです」
顔を見合わせて笑う充と斗真の姿に、翔太と和臣もこれくらいとは言わないまでも、もうすこし仲良くなれればいいのにと心配していると、悟の背後にふたりが来た。
「それが制服の布地?」
翔太が座敷に上がり、悟の右に座る。
「洗濯もしやすそうだし、いいね」
和臣は悟の左側に座った。うっすらと奇妙な緊張感がただよいはじめて、悟は意味もなく座り直した。
(なんなんだ、この雰囲気は)
不可解すぎる状況に困惑している悟の横で、和臣がてきぱきと充から衣装代の領収書を受け取って代金を渡した。
「仮縫いの状態で体に合うかどうか確認したいんだけど、いいかな」
「それなら上の座敷で着替えて、残った連中でいままでかかった金額のまとめとか、メニューの相談をしておこうぜ。充には俺があとから言うからさ」
「いいね」
翔太が斗真に同意して、それじゃあと充が仮縫いされた布地をまとめて立ち上がる。
「誰から着替える?」
「あ、俺」
この雰囲気から逃れたくて、悟はさっさと立ち上がった。
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