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「おはよう」
「……」
返事はないけど、会釈をしてくれる。
「モリー、昨日もバイト?」
「いやいや、モリーはネトゲで完徹コースでしょ」
「くぁ〜、イケメンモリーは寝不足そうでもイケメンじゃのう〜」
「モリー、こないだ貸したDVD持ってきたか?」
俺が挨拶すると、すぐに森保君の周りにはイケイケな友達がやってきて、ガヤガヤしながら教室に入っていく。
只今、午後1時55分。
今日は、6限目からの登場。
重役出勤の森保佐久間(モリヤスサクマ)君。
九分九厘が重役出勤の森保佐久間君。
スクールカーストも重役クラスの森保佐久間君。
でも、ドラマだとエキストラ生徒Bあたりの俺にも会釈してくれる森保佐久間君。
森保君とは、2年になって同じクラスになった。
席が前後になったのがきっかけ。
テストの時、後ろから回される森保君の解答用紙。
氏名の欄に、綺麗な字で書かれている『森保佐久間』。
不良っぽい見た目の森保君。
だけど、その綺麗な『森保佐久間』は、俺の中の森保君にしっくりはまって…。
「森保君って、字が上手いね」
つい、生徒Bな俺にない台詞を言ってしまった。
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