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1-S
「おはよう」
「……」
業界人のように、いつでも必ず「おはよう」と言ってくるアイツに、とりあえず会釈する。
「三島、さっきのリーダー、マジよく答えれたな」
「そそ、直前まで船漕いでたのによー、三島」
「三島には第三の目があんじゃね?」
アイツは挨拶したら、すぐにさっきまで談笑していた奴等との会話に戻り、ワイワイしながら教室を出て行く。
只今、午後1時55分。
今日は、6限目から出現。
ねこっ毛で天パの三島藤(ミシマフジ)。
九分九厘、天パなくせにクセっ毛と言い張る三島藤。
見た目も行動も猫みたいな三島藤。
そのくせ、ドラマだと確実に不良Aな俺に挨拶してくる三島藤。
三島とは、2年になって同じクラスになった。
席が前後になったのがきっかけ。
テストの時、後ろを振り向く三島に、テキトーに書いた解答用紙を渡す。
何気なく見た三島の手。
男の割に、細くて長い綺麗な手してんなぁと思ってると。
「森保君って、字が上手いね」
なーんて気まぐれな猫の台詞に。
「…見てんじゃねーよ」
つい、不良Aな俺っぽい台詞を言ってしまった。
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