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2-S

「おはよう」 「……」 三島の挨拶と俺の会釈。 三島に挨拶されはじめの頃は、 「モリー、三島に挨拶されてっゾ」 「モリー、三島とダチ?」 「モリー、実はカツアゲとかしてたりwww?」 等々言われたが、3ヶ月も経てばいつもの一場面となり、特に何も言われなくなった。 俺も、三島の挨拶には何も言わないまま。 いつも、ただ挨拶をして去っていく。 スッと現れスッといなくなる。 三島は、気まぐれな猫だ。 只今、午前7時55分。 今日も、猫のようだ。 いつもと同じ。 「三島、現国の宿題やった?」 「三島、今日オレ数学当たる日なんだよー教えてー」 「三島、世界史小テストするんだっけ?」 「三島、古典の辞書貸して」 三島を囲むゆかいな仲間たち。 なんだかんだで、三島はダチが多い。 なんだかんだで、いつも色んな奴が三島に声をかける。 やいのやいの言われながら席を立つ三島。 1週間前の席替えにより、三島は一番前の真ん中。なかなか運のない奴だ。 一方の俺は、窓側の後ろから2列目。しばらくは快適に過ごせる。 席が前後のときでも、これといった会話はなかったが、物理的に離れると声をかけられることもなくなった。 不良Aに与えられた台詞はない。 ただ、不良Aと気まぐれ猫が一緒になるシーン。 ただ、不良Aのお気に入りのワンシーン。

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