4 / 16
2-S
「おはよう」
「……」
三島の挨拶と俺の会釈。
三島に挨拶されはじめの頃は、
「モリー、三島に挨拶されてっゾ」
「モリー、三島とダチ?」
「モリー、実はカツアゲとかしてたりwww?」
等々言われたが、3ヶ月も経てばいつもの一場面となり、特に何も言われなくなった。
俺も、三島の挨拶には何も言わないまま。
いつも、ただ挨拶をして去っていく。
スッと現れスッといなくなる。
三島は、気まぐれな猫だ。
只今、午前7時55分。
今日も、猫のようだ。
いつもと同じ。
「三島、現国の宿題やった?」
「三島、今日オレ数学当たる日なんだよー教えてー」
「三島、世界史小テストするんだっけ?」
「三島、古典の辞書貸して」
三島を囲むゆかいな仲間たち。
なんだかんだで、三島はダチが多い。
なんだかんだで、いつも色んな奴が三島に声をかける。
やいのやいの言われながら席を立つ三島。
1週間前の席替えにより、三島は一番前の真ん中。なかなか運のない奴だ。
一方の俺は、窓側の後ろから2列目。しばらくは快適に過ごせる。
席が前後のときでも、これといった会話はなかったが、物理的に離れると声をかけられることもなくなった。
不良Aに与えられた台詞はない。
ただ、不良Aと気まぐれ猫が一緒になるシーン。
ただ、不良Aのお気に入りのワンシーン。
ともだちにシェアしよう!