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8-S
「モリー、おはよう」
「…おはよ」
吉川の挨拶にとりあえず返事する。
「三島、おはよ」
「お、おはよう」
俺の挨拶に三島が返事する。
いつもの一場面に追加された、一場面。
只今、午前7時50分。
俺からの挨拶に、いい加減慣れろよ。
あの日から、俺は三島にちょくちょく話しかけている。
そして、朝は必ず挨拶をする。
三島からじゃなく、俺から。
それと、あともうひとつ。
「三島、昼メシ」
たまに、昼メシに誘う。
誘うのは、天気がいい日と決めている。
場所は、ハナミズキの下。
特に話す事はない。
この時間は、なんとなく三島に話しかけれない。
昼メシを食べ終わると、三島は本を読む。
俺は、寝てたり、スマホいじったり、課題したり。
ただ、同じ時間を同じ場所で一緒に過ごすだけ。
三島ともっと話したい。
三島の事もっと知りたい。
この何もない時間がもどかしい。
今は、本を読む三島を、あの綺麗な手を、盗み見るだけ。
…to be continued?
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