「モリー、おはよう」 「…おはよ」 ヨッシーの挨拶と森保君の返事。 「三島、おはよ」 「お、おはよう」 森保君の挨拶と俺の返事。 いつもの一場面に追加された、一場面。 只今、午前7時50分。 森保君からの挨拶、…まだ慣れません。 あの日から、森保君はよく俺に話しかけてくれる。 そして、朝は必ず挨拶をしてくれる。俺からじゃなくて、森保君から。 それと、あともうひとつ…。 「三島、昼メシ」 たまに、お昼のお誘いがある。 お誘いは、決まって天気のいい日。 場所は、ハナミズキの下。 特に話す事はない。 この時間、森保君は話しかけてこない。 お昼を食べ終わると、俺は本を読む。 森保君は、寝てたり、スマホいじったり、課題したり。 ただ、同じ時間を同じ場所で一緒に過ごすだけ。 森保君ともう少し話したい。 森保君の事もう少し知りたい。 でも、何もないこの時間が愛しい。 今、俺の中の綺麗な『森保佐久間』が、隣りにいる。