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7-S
「…それ、洋書か?」
「う、うん。たぶん」
「たぶんって何だよ」
三島のキョどりながらの返しに、つい笑ってしまった。
只今、午後0時28分。
気まぐれ猫に、今日は俺から近寄ってみた。
突然の俺の登場に、三島は終始緊張ぎみだ。
そういう俺も、すげー緊張してる。
ただ、ここまできたんだ。
俺はこのチャンスを逃さない。
「も、森保君は何でここに?」
気まぐれ猫が、恐る恐る俺に興味を示している。
「三島が、教室出て行くのが見えて…、気になって来てみた」
いつも言葉が足りていないという自覚はある。
だから、不良Aの俺の、正直な気持ち言う。
「……」
「……」
沈黙が怖い。
沈黙になるな。
何か言ってくれ。
不良Aに与えられ台詞はなかった。
ただ、今は違う。
「俺、森保君と話してみたかったんだ」
俺は不良A。
気まぐれ猫とたわむれるシーンを勝ち取った不良A。
俺は不良A。
オマエの飼い主になる予定の不良A。
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