26 / 109

第26話

 バスタブから上がると上質なバスローブで包んでくれた。ベッドまで行く時間も惜しい。蓮の首に腕を廻し、唇や顔にキスをする。ヒョイッと俺をお姫様抱っこして、寝室に行く。その間も蓮の顔に自分の顔をすり寄せる。  俺の恋人、パートナー、そしてもう身体の一部。蓮が居なかったら、とうの昔に廃人になっていた。1年間の屈辱に耐えられたのは諦めたつもりでも、どこかで希望を持っていたんだろう。  余りに抱きつくから、蓮も笑ってる。俺は蓮の首元が好きだ。男らしく逞しい。いい匂いもする。子犬の様に鼻をスリスリ。  「あの時より、重くなったな。」  「ふ、太った?」  「違うよ、ちゃんと回復したなって。」    優しくベッドへ降ろされ、バスローブの中に手を這わせて、そう、確認するように触れてきた。  「筋肉もついたね。カミーノ侮れない。」  クスクス笑う。うん、侮れないね。巡礼路だもの。  蓮の口付けが、優しく降り注ぐ。口を開き、受け入れる。あの古城以来、(サンタ村はノーカン)ゆっくりと愛情を確認し合う。味わう様に舌を絡める。コクンコクンと互いの垂涎を飲む。それでも口から溢れ、顎を伝う。  キスが、唇を離れ首筋、胸へと降りる。もう期待で突起はプックリと勃っている。舌で転がしたり、甘噛み、時に強く吸ったり。  「・・・あぁっ。」  優しい愛撫だ。俺も蓮の身体に手を這わす。変わらない逞しい身体。同じ男だけれど、憧れる。いや、違うな。この逞しい蓮という男に抱かれたい。もう、彼無しには生きていけないだろう。  追い立てる様な行為じゃない。ゆったりとした触れ合いを楽しんでいる。舌で俺の身体の稜線をなぞる。何処に触れられても、感じる。背中を彷徨っていた手が、俺の下半身へ。蓮を迎え入れるように、脚を開く。脚を撫で、中心部へ。期待に既に昂ぶっている。蓮の手が息子の根元を転がす。片手で中心を扱き、片手で根元の袋を執拗に弄ってる。俺の昂りを口に含む。と、クイッと袋を身体に押し込んだ。  「あっ!んっん!な、何?」  思わず、上半身を起こして蓮を見る。  「大丈夫。俺に任せて。」  言いながらもう片方の袋も、胎内に押し込まれた。もう、お任せしよう。蓮はエッチにはかなり熱心なの忘れてた。脚の間でガサゴソしてる。収納された袋が、何か前立腺に当たって、腰がモジモジしてしまう。  「よし、固定したから大丈夫。今までよりもっと良くなる。」  け、研究熱心だな。再び口で、昂りを慰める。  「んっ、れ、蓮!」  「何?」  「俺も蓮の、愛したい。」  蓮は嬉しそうに、俺の顔に跨る。久々に見る蓮の熱い楔。手と口で愛する。既に勃起してたが、更に大きくなった。先端を強く吸うと  「うんっ!凛、良いっ!」  蓮も久々だから、感じてくれる。夢中になって蓮を舌と手で愛撫する。そうまるで好物の飴の様に。あまりにしゃぶりつくから自分の唾液で顔が濡れる。蓮の腰が揺れる。  「だ、ダメだ、凛。イきそうになるよ!」  「出してっ!俺、飲みたい!」  そう言って先端に舌を差し込み、射精を促す。先走りが出てきた。それを掬い舐めとり、先端を咥え強く吸い上げる。  「アァッ!出るっ!凛、良い!」  口の中でほろ苦い熱い液体が広がり、飲み込む。蓮をイカせて、達成感がある。蓮もお返しとばかり、強く吸い始めた。  「んんっ!あぁぁっ!」  俺も強く吸われ、腰が浮く。舌でグリグリと先端を舐め回される。  「お、俺も出る!」  腰を突き出しながら達した。俺が出したモノを蓮も飲み下している。  体勢を戻して両脚の間に蓮がいる。グイッと両脚をあげ、奥にある蕾へ舌を這わす。俺は、自分で脚を持ち蓮の愛撫を受け入れる。  「ん、ちょっとキツいな。凛、うつ伏せになって。」  ゆっくり、うつ伏せになる。蓮が俺の腰を引き上げ双丘を押し開く。愛撫しやすい様に。熱い舌が縁をなぞり、これからの行為を期待させる。ローションが無いので、蓮が唾液で蕾を潤す。指をゆっくり挿入する。  「痛くない?大丈夫そう?」  「・・・うん、大丈夫。」  眼を閉じ、バックに集中する。優しく慣らす様に内壁を摩る。柔らかくなってきたら、指が増えた。平気。大丈夫。  グリッと前立腺を押された。  「ヒィッ!?」  胎内に押し込まれた袋と前立腺を中から指で押されたのだ。今まで感じた事がない衝撃。身体がビクビクッと震える。  「そんなに敏感になる?」  「う、うんっ。す、凄い!」  余りに感じるのでソコを避けて慣らす。指が、2本から3本に。  「んぁっ!クゥッ!ううっ」  避けてくれるけど、ダメだ。感じてしまう。  「俺の入れたらどうなるかな?大丈夫?」  自分でしといて、ちょっと不安気。  「だ、大丈夫だから、もう来て。」  振り向いて、蓮の瞳を見て、安心させる。  双丘に蓮の熱い楔が当てられる。正直どうなるか、俺も不安だけど・・・も、漏らさない様に頑張るしかない。  ゆっくり挿入して来た。  「んああっ!!うわぁっ!!」  ゆっくりな筈なのに、前立腺に当たるから物凄い衝撃だ。多分、収納されたヤツが前立腺を内壁へ押し上げてる。蓮のモノが通過する度、ゴリゴリッと擦られて堪らない。  「す、凄いよぉ!何これっ!ん、グゥッ」  まだ挿入途中なのに、俺は枕にしがみ付き震えている。涙が溢れるのが分かる。快感が強すぎる。身体が痙攣し始めた。蓮が最後にグイッと腰を最奥に進入させる。  「アァッ!ヒィッ!イ、イクッ!」  ビクビクッと身体が痙攣する。枕を掴み、強すぎる快感に耐える。だってまだ挿入しただけだ。  「だ、大丈夫?苦しくない?」  正直、強すぎる快感は苦しくなる。だけど止めたくない。  頭をカクカクと降る。  「じゃ、動くよ?」  ゆっくりとスライドを始める。ダメだ。ずっとオーガズム状態に入るのが分かる。  「ヒィッ、ゔゔっ、ああっ!」  もう、感じるとか気持ち良いとかのレベルじゃない。少しでも身体が動けば、ダイレクトに神経にヒットする。腕を突っ張り、シーツを掴み、ひたすら連続オーガズムに達している。もう、嗚咽だ。ブルブル震える腰を掴み、突き上げてくる。  「れ・・・んっ!い、良いっ!」  伝えなきゃ不安に感じる。クラクラする頭で、必死に言葉を出す。もう顔は涙と涎でグチャグチャだろう。見られたくないから、顔を枕に埋める。枕に噛みつき、このイキ続ける衝撃に堪える。  「・・・グゥッ!・・フゥッンッ!」  噛み付いてても、声が漏れる。  「凛、声・・聴きたい。」  蓮が手を伸ばして枕を取り上げた。  マットレスに額を押し付け、身体を丸めシーツを掴む。  「こ、声、ヤダっアァッ!」  シーツを噛む。蓮は動きを止めて、俺の頭を撫でて  「大丈夫、凛の声恥ずかしい事ないよ。俺ちゃんと聴きたい。」  一旦、蓮が俺から抜かれる。  「ハァッッ」  今後は仰向けだ。両脚を肩に掛けて、再度挿入された。  「んああっ!!ヒィッ!」  喘ぎ声というより、悲鳴だ。口に何もいれられないから、突き上げられる度に叫ぶ。ボロボロと涙を流しながら打ち震えて連続ナカイキに堪える。  無意識に蓮に腕を廻して、口付けを求めていた。蓮も身体を倒し、キスに答える。蓮の頭にしがみ付き身体をビクつかせる。伝わるだろうか?この言葉に出来ない快感が。  蓮ももう何度か達している。だけど、蓮の熱いモノは萎えない。俺を欲していたみたいだ。女性の様に濡れない筈なのに、蓮が放った精液でヌチャッヌチャッとピストンする度に音を立てている。  「・・・ッ、れ蓮、・・・・もう、無理ッ」  声が掠れている。もう腕にも力が入らず、上半身はマットレスに投げ出して、腰だけが繋がってる。脚にはもう感覚がない。バックもだ。内壁だけが、蓮のピストンに答えるようにヒクついてる。前からは、我慢してたけど透明な体液が溢れてしまった。  「んっ、俺もこれが最期だっ!」  強く突き上げられる。  「・・・・!!」  もう、声が出ない。顎が上がり、魚のように口をパクパクさせるだけ。涙は止まらない。ガクガクッと蓮に合わせて、最期のナカイキ。  (アァッ、イイ、良すぎるっ!)  蓮が肩で息しながら、何か俺を見つめてる。  「り、凛。身体が、変わってる・・・」  「・・・?」  自分では、分からない。声が、出ないから必死に蓮を見つめる。  「肌が、髪が輝いてる。何で言えばいいのかな。さらに美しくなった、というか・・・」  何だ?そう言われて、自分の腕を見る。まるで陶器の様な肌。髪を引っ張って見ると更に銀髪に近い。  「けっして、女性ぽくなった訳じゃないんだけど、綺麗になってる。」  ズルっとまだ中にあった蓮のモノが引き抜かれた。  「・・・!」  身体がビクッとなる。中から蓮の精液が、溢れる。いつもなら吸収するけど何回も出されたから無理だ。  怠い身体に力を入れて、人間の姿になり鏡を見る。  ・・・。人間の姿になっても、肌の質感や髪、顔付きが変わったのが分かる。母親似で女顔とは思っていたが、さらに中性的になった気がする。  「これって、最強じゃね?こんな美貌と逞しさを兼ね備えて。ん~そうだな。華と同じ類だ。」  そうだ、華は父親の俺が言うのも可笑しいが美しく強い。冷酷な程冷静に物事を捉える。彼女の母親、元嫁の性質を引き継いでいる。彼女も美しく、また強かった。  「父親と娘なのに、2人とも綺麗ってある意味すげーな。」  蓮も久々のSEXで疲れたみたいで隣でゴロンと横になっている。  声が出ないから、スマホに書く。  『俺、強くないよ。皆の足をまた引っ張るかも知れない。』  「そんな事ないよ。古城の時、痩せこけてフラフラだったのに、俺がやられたら、ブチ切れて、華と変わらない位、暴れてたよ。」  『そんなに?』  「うん、正直別人みたくて俺も怖かった。」  うーん。強くなったのか、ブチ切れただけなのか分からない。  「そういや、ガブリエルも俺と華がディウォーカーになる時、凛もいずれ変化するとか言ってなかったっけ?」  ん~、覚えてない。  「まあ、美貌が増したのは確かだ。それにずっとディウォーカーだったのに、自分で自分の身はちゃんと守ってきた。能力もコントロール出来てきたんじゃないか?」  それは、そうかも知れない。バーに1人で行っても誰からもしつこく言い寄られなかった。カミーノで、ケンにたまに注意されてた位か。  何か飲む?と聞かれて、口パクで水っていったら、コーラが来た。ま、いいけど。  ディウォーカーの姿に戻り、時間は早かったが、2人共、疲れて早々に寝てしまった。  翌日、バチカンからはまだ連絡が来ない。声が復活して、話せるようになった。  「蓮、怒らないで聞いてくれる?」  「うん?何?」  朝食をルームサービスにしてもらい、部屋でゆっくり食べながら話す。  「俺が言った襲撃の話なんだけど。」  彼奴ら、ナイトウォーカーは群れている時はどうやらリーダー的な存在がいる。他のナイトウォーカーは、基本的にリーダーの言いなりで動いている。リーダーが気に入らないと例え仲間であっても平気で殺す。恐怖政治的な感じだ。  「襲撃する規模にもよるけどさ。その・・・」  「ん?言ってみないと分からない。」  「俺みたいなのを好むみたいだから、俺が囮になって、まずリーダーを倒した方が良いと思う。」  無言が続く。  「俺は賛成しかねるな。危険過ぎる。」  「彼奴らはテリトリーがある。俺が居た辺り近辺にまだ他の集団が居るはずだ。無駄な戦いをすれば、司祭達は疲弊するだけだ。」  責任者は、もう司祭にも被害者が出ていると言った。これ以上、有能な司祭を死なせる訳には行かない。  蓮はまだ反対してる。  何となく、蓮の首に揺れるネックレスに手を伸ばした。  スッと俺の手に現れたのは自分の武器じゃない。蓮の劔だ。  「どう言う事だ?」  2人してポカーン。  「優雅な朝食だな。」  ガブリエルだ。俺に警告して以来だ。蓮が立ち上がる。  ドガッ!  何と、大天使ガブリエルを殴った。  「俺は貴様を許さない。警告だけして、凛を助けようともしなかった。」  怒りに震えている。俺が居ない時に1度会ってる筈なのに。  「華が居たから、我慢したんだ。前回はな。」  ガブリエルは、殴られた頬を摩りながら  「それは私の力が足りなかった。君の怒りは受け入れよう。今日は、今触れたネックレスの話だ。」  ガブリエルが言うには、深く交わり、身体だけじゃなく精神的に交わった2人だからこその現象らしい。離れていた時間さえ、君達は繋がっていた。とガブリエルは言った。  「司祭達には純銀製の武器を持たせた。もうすぐ旅立つ時が来る。身体を労われ。あとディウォーカーを集めろ。最初の襲撃先はかなり数が多い。君達2人と司祭達だけでは、危うい。」  そう言うと、俺に向かって  「よく耐えたな。君が賛美して復活した事は神はご存知だ。君は生まれ変わり麗しさと強さを手に入れた。全て、君の心に生きていた男の力だ。彼を信頼して戦え。」  スッと姿を消した。  「俺の心に生きていた男かぁ。誰だろうねぇ」  クスクス笑う。怒りに震えていた蓮もガブリエルの謝罪と信頼に、力が抜けたように椅子に座る。  「陽を浴びて、笑う姿なんてヴァンパイアじゃねーよ。天使だ。ガブリエルも美形だが、凛の足元にも及ばない。」  「褒めてくれてありがとうございます。これからもよろしく。」  笑顔で蓮を見る。  「その姿で微笑まれたら、世界中の男は落ちるな。」  テーブルに残ってたパンを嚙る。  その夜、待て状態だったケンと落ち合った。ケンは、俺の変化に直ぐに気が付き驚いてた。  「そこまで、驚かなくてもッ!ウケる!」  俺が笑うと  「いかん、いかんよ。蓮。こんな姿を晒したら、蟻のように集ってくるよ。」  「う~ん。俺もそう思うんだけどさ、コレ人間の格好してもあまり変わらない。」  「マジか。1人じゃ危ないよ~」  ケンの中では、まだカミーノの危なっかしい俺が居るみたいだ。  「なんか強くなってるみたいだよ?それに能力も多少はコントロール出来るようになったんだ。」  力瘤見せたり。  「ダメだってぇ。自覚なさ過ぎ~」  俺と蓮は、ケンの反応が面白くて久々に腹の底から笑った。  「何がそんなに可笑しいんだよ!こっちはヒヤヒヤしてんのに!」  周りをキョロキョロしてる。確かに視線は感じるけど寄っては来ない。  ワインも飲んで、楽しい夜を過ごした。  華と健太にメールで襲撃計画を知らせた。詳細はまだ不明。っと、送信っ。  華は瞬間移動が出来るから、計画実行直前に2人で飛んでくる。俺と蓮はバチカンから連絡があり次第、あの場所へ戻る。  〔もしもし、私はエクソシストの責任者の・・〕  バチカンから連絡が来た。場所はやはりドイツ。夜の襲撃だ。  そうだ。ロイは来れないだろうか?何か役に立つかも知れない。  ロイに電話する。久しぶりの声だ。  「~と言う訳で、襲撃計画があるんだけど、協力はしてもらえないだろうか?」  〔・・・気が進まないな。君らの敵とは言え、同族だからな。前回は君が捕まっていたから参加したまでだ。〕  「そうか。無理なら仕方ないな。ところで今何処?」  〔バチカンの近くだ。私にも神に祈りたい時もあるからな。それにイタリアには昔、情熱的なパートナーが居た。〕  「俺達、今ローマなんだけど。しかもバチカンの近く。」  電話先で驚いてる。  近いのが分かって、夜とあるバーで落ち合う。ロイもまた俺の変化に驚いていた。  「言葉を失うな。なんて美しいんだ。このパートナーを独占してる蓮が恨めしいよ。」  「で、どうする?襲撃先はドイツ。掃除に参加して欲しいんだけど。」  「掃除か。あの辺りは巣窟だからな。人手は居るだろうが、私でもいいのか?」  「ん、ロイはもう仲間だよ。俺を助け出してくれた1人だ。」  ニッコリと自然に笑みが浮かぶ。  「その笑顔は卑怯だな。断れなくなる。」  クイッとワインを飲むロイ。蓮も確かにと頷いてる。  「場所が決まっているなら、私は移動するよ。」  「わかった。協力してくれてありがとう。」  「私への報酬は君の笑顔だな。」  そう言って、闇に姿を消した。  数日後の襲撃に備えて俺達と司祭達が移動する。華達と落ち合うのはドイツの古城前。俺みたいな被害者は、俺が最後でいい。人間も襲わせない。心に最初の被害者の少女が浮かんだ。

ともだちにシェアしよう!