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第27話

 また、戻って来た。  忌まわしいこの土地に。村に入るともう微かに死臭がする。司祭達が確認した古城に向かう。華と健太も合流。  目指す城の前には、ロイが居た。  「ロイ、有難う。ここに居る奴等は知ってる?」  「代替わりしてなければ、見知った奴だ。かなり会ってないがね」  静かに扉を開き、俺だけが入る。囮だ。まずリーダーを倒す為に。  ガタッと何か音がした。そちらに歩いて行くと立派な棺があって、蓋を中から押し上げていた。  「おぉ、これは来客とは。しかも心奪われんばかりの美貌だ。」  クイッと顎を上げられ、腰に手を廻される。恐怖で全身に力が入る。怯えが伝わったらマズイ。  「鏡が見れないから、自分では分からない。」  「たしかに。」  笑いながら、シャツを脱がされた。  「まるでシルクの様な肌だな。胸は薔薇の様で美しい。」  まるで品定めして居る様に、眺め触れてくる。悪寒が走る。  「ルイの処に一年程、飼われていた。」  「あぁ、ルイか。暫く会ってない。というか、彼の気配自体感じないが何が起きたのだ?」  俺は、男の胸に手を置き蓮の劔をイメージする。  「大掃除だよ。」  俺の手から劔が現れ、呻く暇なく男の胸を貫いた。  リーダーの死を感じたのか、数多くある棺が騒めき、住人達が起き始めた。  蓮達や司祭達が入ってくる。  司祭は、大量の聖水を撒いたり、聖香油を一定の場所に塗り、結界を張る。  俺達は、ただ大暴れするだけだ。結界を張った彼らは取り敢えず避難場所を確保し、緊張が走る身体で、武器を掲げて居る。  ガブリエルが言った様に、ここは古く住人が多い。大掃除が有るとケンに話したら血液をくれた。お陰で体力は最高に充実している。  蓮を見ると、上半身裸の俺を見て・・・キレてるな。  「1人も逃すなぁ!!」  蓮が叫ぶ。華は水を得た魚の様に倒して行く。笑みを浮かべている。ちょっと怖い。健太も実践は2回目だが、中々健闘している。  おっと、自分に集中しなくては。やられたらまた皆の足を引っ張ってしまう。  次々に襲いかかるナイトウォーカーを大鎌で切り裂く。奴等はまともな武器など持っていない。ただ、ゴキブリの様に数が多いだけだ。天井に張り付き様子を伺う者、逃惑う者、古めかしい武器で対抗する者。  「クソッ、多いなっ!」  地下にも居たのか、騒ぎで湧いてくる。  司祭達も訓練を積んだらしく、緊張はあるものの奴等を倒している。    大鎌を振り上げた瞬間、背後を取られた!  (しまった!)  俺は1人のナイトウォーカーに身体を抑えられた。  「離せ!化け物!」  男の腕の中で暴れる。しかし、コイツは他の奴等と違う。腕力も凄いが、何か能力を持っている。ヤバイ。本当に人質になってしまう。ルイの様に飛ばれたら元の木阿弥だ。またあの1年が蘇る。身体に恐怖と混乱が走り、全力が出せない。無言で抱え込んだ俺を連れ何処かに逃げようとしている。ダメだ!1人じゃ逃げられない!  「は、華!!」  華は俺の声に反応して一瞬で、俺を抱えて居た男を切り裂いた。  「大丈夫?パパ?」  「あぁ、大丈夫だ。有難う。」  悔しい。俺はまだ自分の身を守れないレベルなのか?蓮も、応戦しながら俺の元へ。  「上着を着ろ!奴等がお前に集中してしまう!」  慌てて、シャツを拾い上げ身に付ける。  「今の男は何か能力を持ってたみたいだ、他の奴等も持ってるかも知れない。」  「分かった、気をつけよう。」  再び、戦いに戻る。俺は背後を取られない様に壁に背を向けて、応戦する。  「ちっとも、減らない!どうなってんだ!」  健太が叫ぶ。  倒しても倒しても、何処からか湧いてくるのだ。    「そ、外からも来てます!」  1人の司祭が叫ぶ。  (あぁ、そうか。ルイも言っていた。テリトリー内にいくつか城が在る。そこから来てるのかも知れない。)  司祭達は疲弊して来ている。防戦が精一杯のようだ。俺達も無限に体力がある訳じゃない。俺は物陰に隠れてどうすればいいか考える。武器を振り回してても埒があかない。その時、鼻に付く強いアルコール臭がした。広い部屋がある。中には樽に入った・・・酒か。かなりアルコール度が高いのか香りが強い。  「外の低俗な奴等は片付いたぞ。」  ロイが、城内に入ってきて俺の元に来た。  「何を考えている?」  「これで、棺ごと奴等を燃やせないかな?」  外からの流入が無くなり、数はもう増えない。  「なるほど。では、私は外に逃げ出してくる奴の相手をしよう。」  俺は大樽を抱えて、並ぶ沢山の棺に酒をかける。  頭上では、蓮や華、健太が、戦っている。  司祭達の何人かが、俺を見て樽を持ち出し地下などにも酒を撒く。酒をかけられた棺を見て、何か感じ取ったのか奴等が騒ぎ始めた。  「アルコール消毒だ。」  火を放つ。あっという間に青い炎が、辺りを包む。奴等は棺が無いと日が高い時間休む場所がない。たとえ小部屋に逃げ込んでも、これだけ人数が多いとあぶれる奴等もいるだろう。大所帯が仇になったな。  悲鳴を上げながら自分の棺にしがみ付き身体を焼かれている。  蓮達も、奴等が襲って来なくなったので、炎に気がついた。  「燃やすのか?」  「うん、奴等ごとね。外に逃げ出して行く奴はロイが相手してる。そっちに行ってくれる?」  「分かった。」  俺は奴等が隠れそうな部屋を日が刺すように破壊していく。  「地下は燃え尽きました!どうしますか?」  司祭が言う。  「地下に行けない様に、壁を崩せそうですか?作りは脆いです。」  「分かりました。」  司祭達は、地下への通路を破壊する。  華も外へ行き逃げ出して来たナイトウォーカーを倒している。健太は、俺と一緒に部屋を破壊する。  ナイトウォーカーの気配が消えた。やっと終わったか。石造りの城は部屋が燃えても焼け落ちはしない。  「また此処に住み着く奴、来ないかな?」  「恐らく大丈夫だろう。態々、同族の焼けた臭いがする場所には流石に来ないと思う。それに司祭の残した聖域もあるしな。」  あぁ、あれか。  「私達も、定期的に見廻る予定です。」  それは良かった。ロイも結構凄いよな。たった1人で外から来る奴等を倒したんだから。何が僅かしか能力が無いだと?多分、考えたくは無いがロイと戦っても負ける気がする。  司祭達と、良い経験になりました。と話し別れた。また、何が有れば連絡するとの事。バチカン、侮れない。  「ん~、何で助け呼んだ時、俺じゃなくて華を呼んだの?」  どうやらご機嫌斜めだ。  「華は、瞬間移動出来るからね。それだけだよ。」  近くにいたのは俺なのに、とブツブツ言っている。  「だって、蓮がパパを庇ったらまた蓮がやられるかも知れないじゃない。」  そう、俺を庇って傷を負ったんだ。  「そうだよ、例え傷の治りが早くても余計な体力を使う必要はないよ。あれだけの人数がいたんだ。戦う方に集中するべきだった。」  ふ~ん、とまだ納得してない。  「それより、ガブリエルは俺に強さを手に入れたとか言ってたけど、結局また捕まってしまった。ごめん。」  「あれは、仕方ないよパパ。あの武器はどうしても隙が出来るし、パパはPTSDで身体が固まってた。」  全てお見通しか。情けないな。  「PTSDは、時間がかかる後遺症です。戦えただけでも、凄いですよ。」  健太がフォローしてくれた。有難う。  「それにしても、凛さん変わりましたね。」  健太が改めて俺をみて言った。そうか、おれが監禁から自由になった日以来か。  「そんなに変わった?身体鍛えたからガリガリじゃないとは、思うけど。」  「いや、体格云々じゃなくて・・・」  「一段と綺麗になったって言いたいんでしょ?私も思った。」  変化がバレたか。  「帰ったらまた、モデルやったら?パパのファンから、凄い量の手紙やらメールが健太の会社に来てる。」  そうか、突然姿消した事になってるもんな。  「オークションでも、凛さんの載ってる雑誌や切り抜きが高値で飛び交ってますよ。」  ・・・マジか。  「姿消して2年近いのにな。俺もビックリだよ。」  どうやら蓮も驚いているみたい。  「お蔵入りの写真も有りますし、凛さんが良ければウチの会社は大歓迎ですよ。」  だけど、また標的にならないだろうか。  「今の美しさは、魅了されますが、易々と触れられない空気がありますね。」  「実は俺もモデルにスカウトされた。」  何と。確かに日本人離れした容姿だし、俗に言うイケメンだ。  「ウチの女性ディレクターが、凜さんの送迎時に蓮さんを見かけまして。またスカウトする様に指令が出まして」  健太も華も笑っている。  「一緒に撮影すりゃ心配ないだろ?それに俺が撮られなくてもスタジオ入れる。」  そういや、口出しさせないように、出禁にしてた。  「そう慌てなくて良いです。落ち着いて時間があれば、連絡下さい。僕が責任者として動きますから。」  健太も蓮に負けない位、イケメンで優しい。誘われたらしいが、写真が苦手らしく断ったみたい。華とはよくツーショット撮るのにな。  「仕事と学校があるから、先に帰る。」  そう言って仲良く手を繋いで消えた。  さて、俺達はどうするかな。日本へ直帰かな?  「ね、確かカミーノって最後100k歩いたら巡礼証明書貰えるだよね?」  「うん、確かそうだと思う。」  え?もしかして。  「カミーノ歩くの?」  「うん、一回帰国して来るの面倒くさい。」  俺は嬉しくて年甲斐もなく、ソワソワしてた。  「そんなに嬉しい?」  「当たり前じゃん!またカミーノ歩けるんだよ?しかも蓮と一緒に!」  ギュゥゥとハグされた。俺も嬉しくて抱き返す。  「あ、カミーノ中はエッチ禁止ね。聖地巡礼だし。」  え~っ!と蓮。  巡礼宿で出来るか!  スペインに向かう前に、イタリアに寄る。ケンに無事を直接、知らせたいからだ。イタリアを発つ前にケンは心配して血液を与えてくれたのだ。  「ケン!無事に済ませたよ!」  190はあるデカイ身体を屈めてハグしてきた。俺の首元に顔を埋める。  「お前、隙あらば凛に抱きつくんじゃねーよ!」  蓮がゲシゲシとケンを蹴ってる。  「挨拶だよ、それに凛は親友だし。」  ・・・普通、親友をネタに抜かない。  「そうだ、蓮と一緒にカミーノ歩くんだよ!」  ケンの腕から抜けようともがく。  「へぇ~、カミーノとか興味無いと思ってたよ。」  グリグリと俺の頭に顔を擦り付ける。抜け出すの諦めた。  「いつ、行くの?」  「明後日かな。」  ケンの腕の中から会話を聞く。  「少し伸ばせない?」  「・・・お前も行くつもりか?」  「おっ、正解。仕事片付けて、一緒に行く。」  俺を離せと蓮が、また蹴り。  「蓮がカミーノの間、凛に変な事しないか監視しないと。」  お前が言うな。でも楽しくなりそうだ。  2人の掛け合いが面白くてケタケタ笑う。  一斉に周りの男性の視線が集まる。  「いかんよ~、いかん。笑ったらダメだよ~!」  笑うのは自由だろ?また笑う。楽しい夜が更ける。  ホテルに戻ると預けた荷物を受け取り、連泊延長を頼む。でも観光地のど真ん中。中々話が合わない。  奥から責任者らしい男性がきた。俺を見て何か言ってる。  「連泊延長出来たよ。しかも部屋ランクアップして料金そのまま。なんか常連だからって。まだ2回目なんだけどな。」  そう、前回も泊まったホテルだ。責任者はまだ俺を見てる。多分、俺の能力に当てられてる。  部屋に入って荷物を下ろす。広い。  「ベッドでか~い!」  疲れもあったし、酒も入ってる。ベッドにダイブした。  「うぉっ!」  俺の上に蓮が乗っかってきた。  「ちょっと、何?」  「今からエッチします!」  ハァ?昨夜、ドイツで暴れて来たばかりで疲れてるんだけど。  「あの~、疲れてるし、酒も入ってるんでパスしたいんですが。」  「残念、パス制度はありません。」  やはり無かった。こないだみたいなのは、キツイなぁ。  「ん?甘い。」  キスしたら、甘い味。  「ん~コレ。」  蓮の舌の上に飴ちゃん。珍しい。  口渡しで、俺に飴くれた。水飲んでる。そんなに甘いの苦手なら舐めなきゃ良いのに。コロコロと口の中で転がす。美味しい。  全裸にされた俺はゴロンとベッドに横になってる。飴舐めながら。  まるで美術品を眺めるように、見つめて触れる。身体の稜線をキスでなぞる。  胸に到達すると、  「前より紅いな。いやらしい。」  そう言って吸い付く。  「ンッ!」  慌てて飴を出す。声を出す訳には行かない。前回、部屋を出る時、隣からクレームを言われたらしい。恥ずかし過ぎる。  枕を引き寄せ咥える。  執拗に胸を愛撫するけど前は触ってくれない。自分で触ろうしたら、またもやはねられた。後ろだけでイケって事か。  ひっくり返されて、双丘を開かれ口で蕾を濡らす。舌を尖らして中へ。  「んんっ、ふぅっ!」  声を殺す為にギリギリと枕を噛む。それでも声が漏れる。  柔らくなって、指が入ってくる。腰が誘う様に揺れる。指が増え喜ぶ身体、身体は素直だ。多分2人とも昨夜の戦いの昂りが残ってる。最初はゆっくりだったが、だんだん性急になってきた。  もう、待てないって感じで蓮が挿入された。ちょっと苦しかったけど、俺も求めていた様で、前からタラタラと精液が流れている。これ、確かトコロテンとか言ってたなぁ、とボーっとする頭で考えてたら  「考え事する余裕あるみたいだね。」  え?と返事する間も無く、激しくピストンが始まった。  「グゥッ!ゔっゔっ!」  蓮のリズムに合わせて呻き声が漏れる。今日は何か余裕が無い突き上げだ。良いところばかり責めてくる。多分、バーでケンとじゃれ合ったからかも知れない。内壁が蠢き、蓮を絞り上げる。  「凛!湯、緩めてっ!」  頭を振って、出来ないと合図。だって、もうイキそうだから。必死にイカない様に震える手で枕を掴む。先にオーガズムに達すると蓮がイくまで、ナカイキしっぱなしだからだ。正直、キツイ。気持ちいいけど。  「フゥッ!クゥッ!」  ダメだ、イキそう。また先にイっちゃう。内壁が、痙攣を始める。身体もガクガクッとイくのを知らせる。涙目になる。  (あぁ、くるっ!くるよっ!きちゃう!)  腹の底から、快感がせり上がってくる。震える手は伸び切り、つま先も突っ張ってる。  枕を口から離し  「れ、蓮、もうダメ、イく、イくようっ!」  鳴き声で訴える。  「いいよ、イって!」  最奥を狙って突き上げる。  身体全体で痙攣してオーガズムに達した。  でも、まだ蓮は耐えてる。ピストンが止まらない。喘ぐ事も出来ず、ヒィヒィ言ってる。ナカイキが止まらない。前からはトロトロ溢れっぱなし。脚を伝いシーツを濡らす。  意識が遠く。内壁だけが蓮の突き上げに対してギュウッと反応してる。  何度目かのナカイキで、やっと蓮も熱いモノを中で放出した。と同時に意識も飛んだ。  冷たいボトルを顔に当てられ、意識が戻る。  「・・・次からはパス制度、お願いします。」  「はい、反省してます。」  早く手加減を覚えて欲しい。エッチの疲れを翌日に持ち越したくないしね。  明日はケンが、バチカンのミュージアムを案内してくれる。楽しみだ。  今日のがバレませんように。

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