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第60話

   はい。おはようございます。  蓮君のお陰で、すっかり開発されたオジサンが通ります。  セックスダイエット?あぁ、そりゃ痩せるわな。あんだけ、濃厚だとね。・・・痩せる前に身体が壊れます。玩具は、一回につき1個まで。と約束しました。  飲めるようになったコーヒーを啜りながら、頭の中で、スィーツを浮かべる虚しさ。  もう、週1回で良いから解禁してくれないだろうか?はぁ。ケーキ屋が目の前にあるのに。  「カキ氷、食べたい・・・」  「砂糖水だぞ、アレ。駄目。」  ううっ。数少ない嗜好品が取れない。  「華っ!お帰り!あれ?健太は?」  「急に出張入って、今、アメリカだわ。」  あらら。夏休み返上ですか。  「ん?なんか痩せてない?」  「うん。今、スィーツ禁止令が出てる。運動もしたから、痩せた。」  「なんで、スィーツ禁止?」  精液まで甘いとか言える訳ない。  「糖尿になるかもって、蓮から言われた。」  「ディウォーカーが糖尿?なる訳ないじゃん。不老不死なのに?」  俺もそう思う。  「俺達は、ならないかも知れないけど、凛は少しタイプが違うしね。それに、精・・・」  勿論、股を蹴り上げて黙らせた。  「・・・!イテェよ!使い物になら無くなったらどうすんだ!」  「どうもしない。」  睨み合い。それ以上、言ったらまた蹴るからな。  「ま、まあ、姫が逞しくなったから、別に良いけど。」  確かに、図太く逞しくなったな。1人を相手して、別れたり引っ付いたり。初めての事ばかりだ。  「クソッ、マジイテェ・・。」  腰を叩きながら、リビングに戻る。  「華だって、健太、尻に引いてるだろ?」  「あら、失礼ね。三歩下がって、夫を立ててます。」  「嘘ぅっ、想像出来ねーよ。」  「何?私からも蹴られたい?」  「いや、すいません。いいです。」  「昇進したからさ、色々面倒くさい。奥さん達の付き合い。」  あぁ、そうか。若くて昇進したから余計に面倒だろうな。  「あぁ、奥さん達で序列とか出来ちゃうわけ?」  「まぁね。あるみたいだけど、そう何十年も務める訳じゃないから、無視してるわ。」  そう、歳をとらないから周りから浮き出したら転職しなきゃいけない。勤め人は大変だ。  「そうだ、また良かったらモデルやらない?ネットじゃ全然、人気衰えてないのよね。」  ふーん、確かに2ちゃんねるでも騒いでたな。  「まぁ、気が向いたらやるよ。」  「もうさ、2人暮らしだからさ、気にならないのかも知れないけど。目につく所にドサッとアダルトグッズ置いてるのはどうかと思う。」  ・・・・。  部屋の片隅に、置いてる。あの馬鹿。寝室に片付けてって言ったのに!  「私、疲れたから昼寝するわ。夕食出来たら起こして?」  「ほーい。お疲れ。」  「俺、片付けてって、言ったよね?」  「ちょっと忘れてただけじゃん、そんな怒んなよ。」  復縁?して、結構、口論が増えた。喧嘩になったり、抱え込まない為に思ってる事は、出来るだけ言うって決めた。  「だらしなさすぎ。こんなん娘に見られた俺の気持ちわかる?」  「そこまで、怒る内容?凛も気がついてたなら、寝室に放り込めばいいじゃないか。」  うう、確かにそうだけど、触りたくない。  結局、殆ど蓮が正論言って終了。頭の回転が速い。  「あ、そういえば、ローション切れそう。買いに行かなきゃ。」  いや、もうその話題はやめて。  「面倒いな。ダースで買うか。」  ・・・・頭ん中、エロしかないんか。って、速攻で買いに行ったぞ。華が帰ってきてるのに。しないからな。絶対。  夕食も出来た。華起こすか。てか、蓮が帰って来ない。近所なのに1時間も。  携帯が鳴る。なんかドキッとする。  知らない番号だ。  「はい。もしもし、どちら様ですか?」  〔私、◯◯警察の者です。蓮さんの同居人さんですか?〕  「・・・はい。同居人の凛です。何かあったんですか?」  胸騒ぎがする。ドキドキが止まらない。  〔実は・・・で、事故が起こりまして。〕  いつの間にか、隣に華が居た。  「れ、蓮は、今どうなってるんですか?」  「代わって、パパ。私話す。」  「もしもし、同居人の娘です。父が少し動揺してるので、私が話し聞きます。」    ソファーに座って落ち着かなきゃ。大丈夫。ディウォーカーだ。死にはしない。大丈夫。  「姫、落ち着いて聞いて。踏切で立ち往生してた車と運転手助けようとして、列車に轢かれた。残念だけど、運転手は即死。蓮は重傷だけど、生きてる。てか、死ななかったのが謎らしいわ。首折れてるらしいのに。」  身体が震える。ディウォーカーだ。死にはしない。回復も早い。だけど、頸椎骨折?酷いな。  「取り敢えず、着替えとか身の回りの準備しましょう。それから病院ね。わかった?」  「あ、あぁ。わかった。」  当面のタオルや洗面具とか詰め込んで、病院に向かう。  蓮はまだ意識が戻ってなかった。体には沢山のチューブ。  心臓は止まってるから、人工心肺で動かされてる。コルセットが痛々しい。俺ならもっと早く回復出来るのに。代わってやりたい。  「病室に入れますか?」  「はい。同居人の方ですよね。蓮さんのご家族は分かりますか?」  「彼には親族はいません。みな亡くなってます。」  「そうですか。では、身元保証人は・・」  「俺がなります。」  入院手続きをして、蓮が眠る病室に入る。  「私、ロビーにいるから。」  「うん。ありがとう。」  病室で2人っきりになる。なんか、嫌な最後だったな。つまんない事で、言い合って。  「蓮?聞こえるかな?来たよ。偉いね。助けようとしたんだって?俺なら立ちすくんで出来ないよ。」  皆んな人間と思ってるけどディウォーカーだ。小さな傷が薄くなるのが分かる。  「大丈夫。少し休めば治るよ。毎日、来るから。」  傷に響かない様に優しく頭を撫でる。看護師、見てないな。  蓮の顔にキス。器具が付いてるから、唇にはキス出来ない。  「今日はもう、帰るよ。痛いだろうし、ゆっくり休んで。」  「お待たせ。ごめんな?折角、帰省したのに。どこか行きたい所ある?」  「無理しないで。ノンビリしに来たのよ。姫は、蓮に付いてやって。家の事は私がやるから。」  「・・・ありがとう。」  緊張の糸が切れた。想像より酷い状態だった。頭はきっとパックリ切れたんだろう。髪を剃られ縫われていた。首も折れてる。列車に直に轢かれたらしい。両手両足もギプスで固定されてた。無傷な場所が無い。   ホロホロと涙が溢れた。  「私が運転するから。ね、帰ろ?」  「うん、ごめん。」  その日は眠れなかった。ジッとソファーに座って朝を迎えた。  「姫、寝ないと。蓮は死なないし、回復する。時間が多少かかるとは思うけど。だから、自己管理はしっかりして。」  「・・・うん、そうだね。少し寝るよ。昼から病院に行くから。」  「そうね。それが良いわ。」  ベッドに横になるが、眠れる筈も無く。  どうしたら、良いんだろう。俺なら血液を飲めば、身体回復能力で数日も掛からないだろう。だけど、蓮は違う。血液を必要としない代わりに、回復が遅い。死にはしないがダメージまで完璧に回復するだろうか。  昼から、蓮の元へ行く。病室に入ろうとしたら、担当医から声を掛けられた。  「少し、蓮さんの状況について、御説明したいのですが。」  「はい。分かりました。」  個室に入って、MRIやCTの画像を見せられた。  「事故の衝撃で頭部裂傷で、骨折もしています。それで、その傷口から、脳の一部も欠損しています。」  欠損?脳が?傷は回復する。だけど失った物は回復するのか?わからない。わからない。  「今、人工心肺で生きていますが、どの位持つかわかりません。それに費用が莫大です。ご家族がいらっしゃらないので、貴方に決めて頂かないといけない時がきます。よく考慮の上、検討して下さい。」  決断?器械を外して、死なせるの?出来るわけ無いじゃないか。  「蓮、来たよ?聞こえる?今どの位、回復してる?早く起きないと、器械取られちゃうよ。ねぇ、起きて?蓮。蓮・・・」  自然と涙がこぼれた。  いつの間にか寝ていたらしい。髪を引っ張られてる。あれ?誰に?  「ん?・・蓮?蓮、起きたの!」  目がしっかり開いてる。ギプスから出てる指で髪を引っ張ったんだ。回復、早い!ナースコールを押して、意識が戻った事を知らせた。  担当医も驚いてる。そりゃそうだ。脳の一部が無い。蓮も意識は戻って器械は外されたが、言葉が出ない。多分、脳のダメージだ。  「蓮、ゆっくりでいい。ゆっくり治そ。」  瞬きで、返事する。会話が成り立つ。大丈夫。  日々、回復していく。人間並みじゃない。病院側は、驚きを隠せない。だけど流石に骨折は簡単に治らないみたい。  「単純な骨折ではありませんからね。治り方は異様な速さですが、骨は時間がかかるでしょう。」  ふむ。そうか。確かに、両手両足もまだ折れたままだ。事故から1週間。華は結局、家事して夏休みを終えた。  「何か欲しい物ある?」  病院のスタッフにディウォーカーだと説明しても無駄だろう。俺は蓮のネックレスに触れ、蓮の考えてる事を読む。蓮が以前俺にした様に。  (凛が欲しい。凛とエッチしたい。)  「・・・・。」  な、殴りたいけど、怪我人だもんな。うーん。その希望には添えない。  頭の傷も塞がり、ホチキスが取られる。後は、脳の回復と骨折。ICUから、一般病室に移動。生命保険も高額なのに入っていて、貯蓄も目が点になるくらいあるから、個室の1番良い部屋を蓮は希望した。スゲ~な。ホテルみたい。  首から下がまだ動かないが、排尿とかは自分で出来るらしく、オムツしてる。  「赤ちゃんプレイだな。」  クスクス笑うと、キッと睨む。やはりオムツは、プライドに引っかかるらしい。目でネックレスに触れって合図してる。何だ?  (勃起してるから、慰めて。)  「は?はい?何で勃ってんだよ。どっから回復しとるんじゃ!」  まだ、言葉出ないのに、下半身から回復っておかしくないか?  「蓮、おはよ。」  家事を済ませて、病室に通うのが日課になった。事故から3週間。まだ、言葉は出ない。でも、ネックレスで意思疎通が出来るから特に不便は感じない。上半身が少し動くようになった。案外、回復早いんじゃないか?腕のギプスは取れた。後は、足が治れば、リハビリだけだ。  「列車に轢かれたのに、やっぱ回復早いな。」  蓮の手が俺の手を取り、ネックレスへ。  (だけど、助けられなかった。悔しい。)  蓮の瞳が涙で溢れる。  「そうだね。そうだ。亡くなってるんだ。でも蓮の所為じゃないよ。」  目の前で、人が死ぬのは心に傷を残す。俺も時々、ケンの最期を想い出す。  蓮の唇にキスをした。事故以来だ。だけどいやらしいキスじゃない。同じ哀しみを持つ者として、分かり合える印のキス。  の、つもり。俺は。でも、蓮は違ったみたいだ。手で、俺の下半身を弄ってる。  「コラ。ここ病院。エッチは無しだ。」  ムッとした顔。さっきの泣いてた同一人物か?バッと布団を捲ったら、はい。蓮君、臨戦態勢。何でだよ。何で下半身から回復するんだよ。  (凛、乗っかって?)  アホか。やらない。泣き真似しても、しないぞ。  また、強引にネックレスへ。  (じゃ、口、口で良いから!)  そう言う問題じゃないんですが。はぁ。仕方ないから、その、リ、リクエストに応える。仕方ないんだ!もう!鍵を閉めるためにベッドから離れた。溜息を気づかれないようにつく。  髪をかきあげ、見えるように口に含む。すごく熱い。頭を上下させて、手を添えて蓮を愛撫する。蓮は久々で、気持ちいいのか、顎を上げ、ウットリしてる。強弱をつけて、バキュームすると、腰が浮いた。  (やっと腰まで動かせる様になったか。)  少し嬉しくなった。先走りが溢れてきた。強く扱く。長々とやってられない。いつ、看護師が来るかわからない。  「・・・ぁ・・ぅ・・」  微かだけど、声が漏れた!声出る!あれ?エッチした方が回復早いの?  強く吸い上げたら、蓮が俺の頭を抑えて身体を丸めて小刻みに震えた。もうすぐイクな。味が変わった。  「・・ィ・・ぁ・・」  ブルブルッと震えて口内にほろ苦い味が広がった。  コンコンとノック。ヤバイ。慌てて布団を掛けて、お茶飲みながら、鍵を開ける。  「す、すいません。お待たせしました。」  「いえいえ。大丈夫ですよ。検温です。」  な、何とかセーフ。ん?蓮が看護師に分からない様に合図してる。何?俺の下の方、指差す。  ・・・はい、分かりました。俺も勃ってました。慌てて上着を羽織り、何とも無いように振る舞う。  (何で俺、勃ってんだよ。恥ずかしい。)  「あら、上半身も動かせる様になられたんですね。凄い早い回復ですね!あと少し頑張りましょう!」  俺は少し離れて作り笑顔。バレたら出禁だぞ。多分。  足の回復がほかに比べて遅い。粉砕骨折と聞いた。手術も大変だったらしい。  今はベッドの上で腕と上半身、言語リハビリをやってる。単語が抜け落ちてるけど分かっていない訳じゃない。思考はハッキリしてる。まぁ偏ってるけど。  「り・・り・ん?」  「うん、何?」  ネックレスが早いから、ネックレスで読み取る。  (凛の口で、舐めたい。)  は?何言ってんの、いや、考えてんだ。  (ディウォーカー同士の血液の交わりはダメだってガブリエルが言ってたけど、凛のその、精液飲んだら回復早くなるかも)  何故、そう言う思考回路になるか理解し難い。ダメだっつーの。  (試したい。お願い!)  ・・・・。実験したいのか。確かに蓮とそのエッチしたら、蓮の体液は、身体が吸収する。だけど回復に繋がるか分からない。  う~ん。どうしようか。昼の検温も終わったし、リハビリは今日は無い。  えぇい。仕方ない。蓮はベッドを倒して、その俺の下半身の高さに合わせて待ってる。鍵を閉めて  「い、一回、一回だけだからね?」  ズボンのチャックだけ開いて、ダランと萎えてる息子を引っ張り出す蓮。口と手で、舐めて扱く。約1ヶ月振りに触れられて、直ぐにガン勃ち。立ったまま、やられるって初めてじゃ無いかな。蓮に下半身ごと吸い取られそうだ。気持ち良くて、恍惚になる。  「んっ、ハァッ!な、何か咥える物!ヤバイ、声出る!」  慌ててタオルを咥える。  「・・んっ、ハァッ・・」  指が後孔を摩る。  タオルを取って  「だ、駄目!後ろ触らないで!」  また、タオルを咥えて声を殺す。  蓮は弱い所知り尽くしてる。先端のパクパクしてる口を中心に強く吸う。久々だから、保たない。  「・・ふうっ!ンンッ!・・」  蓮の頭を自分に押し付けてビクビクッと震える。蓮の口内に白濁した体液を放つ。  ゴクンッと飲み込み、まだ昂りに残るモノまで吸い上げる。  「ンンッ、蓮、強いっ!」  カクンッと力が抜けて、床に座り込んだ。  「ハァッ、ハァッ、ひ、久々だから、凄いな。」  「・・ん~、あ~。・・・。予想的中。」  ふ、普通に喋ってる!さっきまで片言だったのに!  「頭は使わないと意味が無い。」  いや、そうだけどさ。下半身から回復して、精液飲んで更に回復って。蓮らしいっちゃ、蓮らしいけども!  出禁にならない様に、時々そのお互いを口で慰めて、回復を早める。勿論、何もしないより早くなって、看護師や担当医は、茫然としてる。当たり前か。首折れて粉砕骨折した脚が5週間で完治した。脳も、何度撮影しても欠損した筈の部位が再生してる。技師も頭を抱えてる。  申し訳ないな。俺達、人間じゃ無い。今や、何で入院してるの?みたいな状態。病院側は、余りの回復の速さに、色々検査したがってたみたいだけど、丁寧にお断りして退院した。  歩いて退院出来るなんて、初日には考えられなかった。障害が残ってもちゃんと世話する覚悟はあった。  「うーん。一夏、損したな。」  「そんな事ないよ。ノンビリした夏休みと思えば良い。」  「そう?沖縄とか行きたかったんだけど。」  「いつでも行ける。元気なら何処でも行ける。」  自然と笑みがこぼれる。筋肉少し落ちてスリムになったけど、直ぐに戻るだろう。  「ふ~ん。何処でも?」  「うん。何処でも。何で?」  「じゃ、退院祝い貰ったから行くか。」  「ん?何貰ったの?」  「入院中に、華からお見舞いのお手紙とぉ・・・コレ!」  「・・・・・。」  また全国チェーン、レジャーホテル・・・無料券!?格上げしてるじゃないか!  「・・・華、マジで何処からこんなん、手に入れるんだろ。」  「温泉はリハビリにもってこいだろ?何処でっも行けるっ♪」  「・・・行きたくない・・」  「駄目だなぁ、男が言う事、コロコロ変えちゃ。あ、ホテル行く前にドンキね。玩具無い。」  ホテルもドンキも行きたくないです。

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