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第82話

   「ちゃんと調べた。」  「・・・何を?」  「妊娠中のSEXについて。」  調べたんだ。俺、性欲無いんだけど。  「ちゃんとゴム付けて、ソフトなSEX、かつ、妊婦側の体調を鑑みて、やる事。らしい。」  「体調は、別に良いけど、性欲が無いよ。エッチしたくない。」  「いやいや、それはしてないから分からないんだよ。中には敏感になって回数増える人もいる。」  うん、わかった。分かったけど、寝起きにする会話じゃないよね。  「産まれたら、育児メインじゃん?俺、放置気味になるの分かってるから文句は、言わないよ。だから、まだ産まれる前までは、イチャイチャしたい。」  「とりあえず、朝飯にしない?」  仕事、放ったらかしで俺にベッタリ。子供が増えるってこういう意味なんだな。  「・・・蓮、手。まだ、午前中。」  「時間なんて関係ないよ~。ね、エッチしよ♡」  少し目立ち始めたお腹。よくこんな身体に萌えるよな。  蓮が、丁寧に前や後ろを舌で愛撫する。  「胸は、あんまり触っちゃ駄目らしい。だから、下だけ触るね。」  そうなんだ。知らなかった。俺は華が腹に居た時は嫁に手を出さなかったタイプだから、分からない。  「んっ、ふぅ、あ、あぁ、んっ!」  「ん?思ったより敏感になってるね。まだ指も入れてないのに、イキそうじゃん。」  「はぁ、んっ、分かんないよっ!」  舌で秘孔を蹂躙されただけで、もう、身体が蕩けてる。  「指、欲しい?」  「・・・指、指じゃないのが、良い。」  「・・ん、分かった。ゆっくりね。」  ゆっくり蓮の昂りを秘孔に挿入する。  「お腹、苦しかったり張ったりしたら、すぐ止めるから言ってね。」  「うん。」  優しくピストンが始まる。久々だから身体が喜びもっともっとと欲しがるのが判る。  「も、も少し強くても良いっ。」  「うん、凛、欲しいんだね。」  「・・・うん。欲しい。蓮が、欲しい。」  リズミカルに突き上げてくれる。  「あぁっ!ん、あ、あぁ、イ、イイッ!」  「妊婦姿でも、充分魅力的だよ、凛!」  「んあっ、はぁ!クゥッ!ハァッ、ハァッ!」  「凛、イイよ、俺も気持ちいい!」  「あ、んっ、んっ、ハァッ、あぁ!」  下半身がジンジンしてきた。せり上がる感覚。  「ん、んあっ、れ、蓮!イ、イキそっ!」  「早いなっ、まだ俺平気だけど、凛は平気?」  「うん、へ、平気っ!あ、あぁっ!イ、イクッ!イっちゃう!」  ブルブルッと震え、久々のメスイキ。蓮はまだ頑張って、突き上げてくる。  「ヒッ、クゥッ、ンンッ!ハァッ!イ、イってる!イイッ!」  身体が敏感になってる。激しくないのに、イキまくってる。  数回メスイキをして、蓮も果てた。  「ハァ、凛、全然身体変わらない。いや、いつもより敏感になってるね。」  「んっ、ハァ、そ、そうだね。」  ヌルっと引き抜かれる。ローションが、トロッと溢れる。  抜いた後も、秘孔を、指で愛撫。  「あ、んっ、もう駄目だよっ、蓮、指。」  「あったかくて、ヌルヌルして触りたくなる。」  「・・・もっと欲しくなったら、チビがきつくなるよ。も、止めて?」  「ん、わかった。腹、大丈夫?張ってない?」  「うん。大丈夫。」  (心配するなら、やらないで欲しいんだけどなぁ)  久々のエッチで、疲れて寝てしまった。  起きたら夕方。  「ごめん、すっかり寝ちゃった。ご飯今、準備するから。」  「ん。もうしたから、大丈夫。今日はすき焼き♪」  あれ、材料みて分かったんだ。有り難いな。  「な、明日、体調良かったら買い物行こう。安定期入ったし、出産準備していいと思う。」  「それも分かるけど、母子手帳どうしよう。中学位まで使うんだよね。あれ。」  「んー、男だし、普通に行ったら面倒だな。また、俺が能力使うか。ようは、書類の性別欄をクリアしたらいいんだよね?」  「うん。シングルで産む人も居るからね。」  「じゃ、明日行こう、帰りにモールに行けばいい。」  ピンクのオーバーサイズのセーターを着た。  「能力要らないんじゃない?」  「居るよ、保険証、男のまんま。」  ディウォーカーで病やなんかで病院を利用することは無くなったけど、死亡届出してないから、ちゃんと税金払ってます。  「あ、生年月日も変えないとまずいよ。俺、60代だもの。」  「そうか、まずいな。20代前半にしよう。」  無事、蓮の能力で、性別と生年月日を操作して、母子手帳GET。  「なんか嬉しいな。」  「病院は、市内で少し遠いけど、事情は、エクソシストから話してあるから普通に健診も受けられるよ。」  「え、本当?良かった。」  「バチカンからしたら、純血のディウォーカーが産まれるんだから注目してるみたいだな。」  「そうか、そうだよね。人間が産まれる訳無いんだ。」  「そんな落ち込むな。人間らしく育てればいいだけだ。」  「うん、そうか。そうだね。・・・チビ、良かったね。パパさんは、ポジティブの塊なんだよ。かぁちゃんだけじゃ、途方に暮れてた。」  「足して2で割って丁度良いんだよ。な、チビ。」  「蓮、買いすぎだよ。下着とオムツ、哺乳瓶とミルクだけでいいんだよ。」  「いんや、コレ買う。可愛いじゃないか。性別関係なしに着れる。」  「すぐ大きくなるから、そんなに要らない。」  もう、手元にはデカイ紙袋数個ぶら下げてるのに、子供服売り場から、離れない。  「あぁ、すいません。そこにある奴、全部下さい。」  「いや、要りません。すいません。」  蓮を引きずって売り場から離れる。  「もう!お金あるからって、爆買いしてどうすんの?数ヶ月で着れなくなるのに。」  「だって、可愛い。」  「服買いまくる位なら、ベビーシートにベビーカー、買ってよ!」  「あ、そうか。そっちが重要じゃないか。忘れてたな。」  少し冷静になれよ。まだ妊娠6ヶ月のチビに何着、服買ったよ。もー。  「腹、楽そうだな。マタニティの服も買った方が良くない?」  「うーん、蓮のズボン、緩いからそれで済ませようと思ってるけど。」  「今はいいけど、臨月じゃ履けないぞ。」  「そうか。やっぱ、買わなきゃか。勿体無いなぁ。」  「スカートだけじゃないみたいだよ。ほら。」  「あ、こんなんも、あるんだ。」  お腹が出てきても平気なズボン。  「2着くらい買っとこう。これでキツイならスカートだな。諦めよう。」  笑いながら言うなし。  つわりもなく、腹が張ることもなく、かなり順調に育ってます。  初めて健診に行った。最初は妊娠を確認するだけだったから、あまり覚えてない。  「あれ、母親教室とかさ、受ける?父親も参加出来るらしいけど。」  「うーん、どうしよ。男ってバレたら面倒だよ。」  「そうか~、参加したかったけどなぁ。」  「次の方、どうぞ~」  医師は、イタリア人。エクソシストだ。  通訳は蓮がやる。  超音波で、確認。  「成長自体は、普通の人間と変わらないって。順調だそうです。」  「良かった。性別わかるかな?」  「知りたい?」  「うん。」  「うーん、元気過ぎて動き回ってるからまだ分からないって。」  「そっか。元気なら良いや。」  日本人の医師も同席してる。事情が事情だけに関係者も選別されてるようだ。  「次回から、こっちの日本人医師が健診するって。出産の時にまた来るらしい。」  「うん、分かった。先生、よろしくお願いします。」  「はい、事情は聴いてます。私も司祭ですから、安心して下さい。」  「なんか、全部上手くいって怖いくらいだね。」  「ま、いいんじゃない?産まれたら戦争だからな。万が一、産まれてすぐ能力に目覚めたら、それこそ、戦争だ。」  あ、そうか。ディウォーカーで生まれて来るから何かしら能力がある。お気楽な出産じゃないや。  まぁ、ずっと一緒に居るからたまには喧嘩みたいなのも蓮とする。  「五月蠅いな、分かったってば!」  その時、ブンッとテーブルの上にあった灰皿が飛んだ。  「な、何?なんかした?」  頭を振る。何もしてないし、物を動かす能力なんて持ってない。  「サイコキネシス・・・?」  「何それ?」  「多分チビの能力だ。凛が怒りで高揚したからチビも反応したんじゃないかな。」  それ、やばくないか?泣いたり怒ったりする度、物が飛び交うのかよ。  「まさか、腹ん中いる時から、能力発動かよ。参ったな。」  「と、とりあえず、喧嘩は出来るだけやめよ。あと、見える場所に割れる物は片付けて、プラスチックに変えなきゃ。」  「んー、プラスチックは、安っぽいな。木製にしよう。教育にも良い。」  「高いじゃん。」  「安いプラスチックの買っても長持ちしないなら意味ない。なぁ、チビ、良いヤツが欲しいよなぁ。」  カタンッとテーブルの上のコップが軽く動いた。  「スゲ~な。やっぱサイコキネシスだな。腹の中から意志を伝えてる。」  「金遣い荒いの遺伝しなきゃ良いけどな。」  その後は、割れ物を買い換えて、出産準備もして、のんびりと過ごしている。  「え~と、胎児でも昼夜は分かるって、夜は寝るみたいだね。」  「ん?それで?」  「腹ん中から意志を伝える位、育ってるって事は、昼間からエッチしたらチビに分かっちゃうって事だよ。」  「あっ、そうか。」  「そ、だから、日中のエッチ禁止。」  「・・・はい。」  かなり腹もでてきた。今まで来てた服が、パンパン。新しく買うのも勿体無いから、蓮連れてリサイクルショップに。  「オーバーサイズのメンズ服、何枚か買って良い?」  「うん、良いけど、こっち、マタニティのあるよ。」  「・・・女服着たくない。」  「ほら、これ、オーバーオール。ズボンもあるし。」  「あ、本当だ。色々あるね。こっちが楽かな。」  「そう思う。メンズのオーバーサイズ買っても、産まれたら着ないだろ?だったら、身体に優しい方を買った方が良いよ。」  「そうだね。そうしよ。ん~、コレとコレ。」  「リサイクルも侮れないな。ブランド品もある。」  「そういう事。子供服なんてすぐ着れなくなるから、リサイクルで良いんだよ。」  「半分位はね。でも新品も着せたい。」  まだ妊娠7ヶ月半ばなのに、親バカ炸裂してる。  夜になると、相変わらず俺を求める。う~ん、体位的にそろそろ辛いんだよね。ベッドの端に座らされ、前と後ろを丹念に口と指で弄る。  「ねっ、蓮、悪いけど。もうそろそろエッチキツイ。」  「うん、知ってる。楽な体位調べた。」  あ、そう。入念ですな。  秘孔が解れたら、横向きに寝かされた。  「これなら、お腹キツくないでしょ?」  「うん、辛くない。」  「もう、深くは突けないから、浅めにするから。」  「ん、わかった。」  こんな体形になっても、その発情してくれるのは、少し嬉しかったりする。  「あっんっ!ハァッ、うんっ、イイッ!」  「うん、俺もイイよ、凛。」  たしかに、多少物足りないけど、気持ちいい。ちゃんとイイ場所、狙って来るから激しくなくても、満足出来る。  「はぁ、ん、あ、あっ、ハァッ、んあっ!」  クゥッと背中が反る。  「イキそう?俺も出そう!」  「うんっ!イ、イクッ!んんっ!あぁ!」  「俺も出すっ!」  同時に震えて、達した。  「ハァ、ん、でも、そろそろエッチ、休業しなきゃ。少しお腹が、張っちゃう。」  「そうか。じゃ、もう産まれるまで我慢かな?」  「だね。まぁ、本番じゃなきゃいいとは思うけど。」  「おっ。マジですか?じゃ、ヨロシク!」  ブチューとキス。うん、わかったから離れて。苦しい。  出来るだけ、気分の上下が激しくなる言動は抑えて、冷静に会話。まだ腹ん中のチビなのに、チビのおかげで、喧嘩や言い争いが無くなった。子は鎹か。良い子に育つと良いな。  「随分、大きくなったわね。」  同じマンションに引っ越して来た華。忙しいらしくて、引っ越し以来。  「うん、もうすぐ9ヶ月だね。」  「触っても良い?」  「勿論。」  本当は産みたいよね。華。大好きな旦那の子。だけど、ディウォーカーになっちゃって産めない身体になった。なのに、父親が孕むなんて、なんの因果なんだろうか。  「出産、私向かないわ。痛いの嫌いだし。姫が産んでくれるから、美味しいトコ取りね。」  笑ってるけど、寂しそうだ。  「ごめんな?本当は華が産む筈なのに。」  「ヤダ、やめてよ。私、体形崩したくないし、痛いのやだし。夜中起こされるのも勘弁して欲しいわ。だから、今の若い奥さん、子供作らない夫婦増えてんのよ?」  「え?そうなの?」  「そうよ、だから私は現状で満足してるの。自分の時間もタップリあるし。変に勘繰らないで。そのチビちゃんは、姫の処に来るべくして来たんだから。」  げ、現代っ子はクールなんだな。  「私は兄弟が増えるから嬉しいのよ?私の予感じゃ、男の子だと思うわ。」  「ん?なんで?」  「んー、何となく。姫に似た女の子みたいな男の子。」  ふ、複雑です。  「そろそろ、38週に入りますから、管理入院しましょう。胎児も順調ですから、イタリアにも連絡を入れて、2週間後に予定帝王切開術で出産になります。」  2人で病院に来て説明を受けた。  「2週間かぁ。寂しいなぁ。」  「どうせ、毎日来るんだろ?」  「産後だって1週間位入院だろ?合わせて3週間かよ~、寂しいなぁ。」  「週末、泊まれば?良い部屋取ったんだろ?」  個室の高い部屋。ソファーが、ベッドになって、家族が泊まれる。  「良いの?ヤッター♪仕事前倒しで片付けて、来るから。」  「普通に働けよ。」  「どうせ、凛も暇だろ?裕太も来たいってさ。」  「え、うん、良いよ。病気じゃないからね。裕太に来て良いって伝えてよ。」  さて、いよいよ男の俺が、母親になります。  サイコキネシスは、アレ以来出てない。  チビ、あと少しで、逢えるよ。

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