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第64話
まずはバスルームに案内して、引き出しからバスローブを出した。
「蒼用に買った。使ってくれ」
俺も素早くシャワーを浴びてベッドルームに行くと、蒼は窓から外を見ていた。
「多分、俺のマンションはあの辺」
と指さしながら振り返る蒼を後ろから抱きしめる。
蒼から俺と同じボディーソープの香りが立ち昇った。
横から耳を優しく噛む。蒼がピクリと反応する。今度は首筋に唇を這わせると蒼から色っぽい吐息が漏れた。後ろから抱きかかえたまま、ベッドにいざなう。
蒼を押し倒し、馬乗りになって見下ろす。まっすぐ俺を見上げてくる蒼はもう27のいい大人のはずなのに、まるで穢れを知らない清らかな少年のように見えるのは、その青い目のせいなのか、陶器のように白い肌のせいなのか。
自分の腰のバスタオルを剥ぎ取り、蒼のバスローブの前をはだけさせる。
そしてその美しさに陶然となった。
手を伸ばし、蒼の頬を撫でる。
親指で大人になってもピンク色の唇をそうっとなぞる。
蒼が甘えるように俺の手の平に頬を摺り寄せた。その様子がなんとも愛おしくて、
蒼に覆いかぶさり唇を合わせた。甘い接吻の後、瞼にも額にもツンとした鼻先にもキスを落としてゆく。
そして耳元で「蒼、好きだ。やっぱりお前は俺の天使だ」と囁いた。
蒼が手を伸ばし縋りついてきた。
「龍ちゃん、龍ちゃん・・・・ああ、夢みたいだ・・・」
俺はクスリと笑い、本当はその白い首筋に吸い付いて、盛大な華を咲かせてやりたいのを我慢して、蒼の左胸にキスマークを付ける。
これで、目が覚めても現実だったってわかるだろう?
「あの、龍ちゃん・・言いにくいんだけど・・・俺、もうずっと使ってなくて・・・」
恥ずかしそうに小声で蒼が打ち明ける。
「心配いらない」
もとより、一分の隙も無いほど頭の先から足の先まで愛しんでやる、時間をかけて蒼を溶かしてやるつもりだった。
甘かった口づけがやがて欲情の滲んだもの変わり、お互いの舌が熱く絡み合う。
名残惜しそうにする唇を離れ、耳朶を吸い、舌で首筋をなぞりながら美しく浮き出た鎖骨へ向かう。そこを唇で食むと、蒼が俺の頭にあごを摺り寄せ、指を俺の髪に差し入れ、はぁと甘い息を漏らした。
最初は緊張していた蒼の体は愛撫を受けるうち、徐々に艶めき色気を放ち始めた。
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