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第66話

蒼が落ち着くのを待って、右手の動きを再開する。 指を3本まで入れて十分にほぐしてやらなければ、きついだろう。だが2本を奥まで入れただけで蒼は苦しそうだ。本人が言う通りこれは相当長い間使っていなかったようだ。 「蒼、大丈夫か?辛かったら今日は無理しなくていいぞ?」 「嫌だ!絶対今日、龍ちゃんと繋がりたい。痛くても出血しても我慢するから龍ちゃん来て!」 あまりに必死な様子に、わかったわかったと頬を撫でてやる。 じっくり時間をかけ、指3本が入るまでほぐす間に、蒼はもう一度達した。のけ反り身悶える艶めかしい姿を見ているだけで、自分の下半身にもどんどん熱が溜まっていく。 そろそろいいだろう。 蒼の腿裏に手をかけ持ち上げる。俺のものにたっぷりジェルを絡ませ、緩んだ箇所にぴたりと当てた。 バックからの方が楽ではないかと言ったが、蒼は「龍ちゃんとしてるってわかるように前からがいい」と言って譲らなかった。 ぐぐっと先端を潜り込ませる。蒼が力を抜こうと息を吐く。ゆっくりと蒼の中に侵入してゆく。俺を迎え入れる蒼の中が熱い。 腰を揺らしながら少しずつ結合を深めていく。 「痛いか?」 蒼は首を横に振る。抱えた膝の内側にチュッチュッと音をたててキスをしてやるとクスっと笑って返した。その隙に残りをぐっと一気にねじ込んだ。 蒼が「くうっ」と押し殺した声を漏らす。 俺は蒼に覆いかぶさり、キスをした。蒼の額にうっすら汗が浮かんでいる。 「全部入った。苦しくないか?」 「大丈夫。俺、バージンじゃないからそんなに心配しないで。それとも、いつも誰にでもこんなに優しくするの?」 自分で勝手に言ったくせに唇を尖らせて睨んでくるのがおかしい。 「さあな」 わざとはぐらかすとますます唇が尖った。その唇をべろりとなめてやった。 「蒼の中、熱い」 そういうと蒼の顔がさっと赤くなり同時にきゅうと俺のものを締め付けた。 快感に思わず呻きそうになる。 ゆっくりとグラインドを開始した。蒼の中をじっくり探り反応を確かめる。俺を見上げ続ける潤んだ瞳がたまらない。 前立腺のあたりを刺激してやると、蒼は激しく感じ始めた。 快感に喘ぎながら、俺がここにいるのを確かめるように目尻に涙を溜めた瞳で見つめてくる。俺に縋りつこうと腕を伸ばし、うわごとのように繰り返し俺の名を呼ぶ。蒼が俺を求めている。その姿に俺も激しく興奮した。 蒼の体を抱え起こし、体位を入れ替える。俺にまたがる形になった蒼はより深くまで貫かれたせいで、あああ・・・と声をあげながら激しく体をのけ反らせた。 両手で腰を支え、下から突き上げてやると蒼はさらに乱れ始めた。時折、きつく俺を締め付け絡みついてくるので気を緩めるとすぐにもっていかれそうになる。 窓から入ってきた月の光が蒼の白い体と恍惚の表情を浮かび上がらせて、えも言われぬ美しさだ。 天使だ・・・ のけぞり天を仰ぐ蒼の背中に、大きな白い翼がみえるような気がした。

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