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第67話
ふと意識が覚醒した。
何か自分の横にあったぬくもりがふっと消えた気がしたのだ。
ぼんやりする頭で、昨夜蒼を抱いたこと、極限まで疲れなんとかシーツを新しいものにかえ、二人でベッドに潜り込んで眠ったことを思い出した。
では、今のは蒼がベッドから出て行ったのか?
確かめようと思うのに蓄積しすぎた疲労のせいか、瞼も開けられないし、手も動かせない。
いやこれは夢の中か?
ふわふわと漂う意識の中にパタンとドアが閉まる音が聞こえ、何か物を引きずるような音が近づいてくる。続いてコトという音がしてサイドテーブルにペットボトルを置いたのだろうとわかる。
やはり夢ではないようだが、どうしても瞼が持ち上がらない。
やがてベッドが少しきしむ。いつまでも隣に入ってこないと思っていたら
「龍ちゃん」と小さく囁く声がきこえた。
返事をしようと思うが声が出ない。やっぱり俺は眠っているのか?
「まったく・・・絶倫かよ。足ががくがくしてうまく歩けないよ・・・。あー、ほんとに夢みたいだ。龍ちゃん、大好きだよ。もう絶対離れてあげないんだから。嫌だって言っても憑りついてやるんだから。・・・龍ちゃん、愛してるよ」
俺の唇に温かく柔らかいものが触れた。
そして俺の横に潜り込んでくる気配がする。
憑りついてやるって、お前は天使じゃなくて妖怪だったのかよ。そう思ったらふっと笑いが漏れた。
「あれ?龍ちゃん、起きてるの?」
俺に寄り添うように横になった蒼が囁いてくる。
俺は急に動くようになった腕で蒼を抱きしめ、その耳元に囁いた。
「俺も、愛してるよ」
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