美しいサンセットを見ながらビーチ沿いの遊歩道を歩きながら、私は怒っていた。 「なんなのあのモヒカン野郎！あれが今年の沢下賞なんて信じられない！」 沢下賞とはその年の最優秀投手に贈られる名誉な賞、今年は文句なしであの弥栄が受賞した。けどあのチャラチャラ男、しかもさっき私の自慢のパパを「フツー」とか言いやがったし！ 「まぁあれでも球団の看板選手ですからねぇ。」 「あれ？心愛ちゃんも怒ってる？」 「ふふ、私は私が美しいと思った方を貶す方が大っ嫌いですの。」 心愛ちゃんの上品な笑顔に殺気が漂っていた。 私たちの10m先では智裕とパパがずっと手を繋いで歩いている。