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「拓海さん、オーパスの赤ワイン飲み放題だって!」 「智裕くん、ご挨拶終わったの?」 「終わった終わった。はぁ、やっと(くつろ)げるよー。」 さっきまで弥栄が座ってた椅子に智裕はだらーと腰掛けた。そして持ってきた赤ワインをグイッと飲んで喉を潤していた。 「智裕、弥栄の自主トレ帯同するって本当?」 私は不機嫌な声で訊ねる。すると智裕は「あちゃぁ」って顔をする。 「今断るの交渉中だっつの。俺はオフシーズンは家庭第一って言ってるしさ。」 「デスヨネー。」 「2月からは嫌でも寂しい思いをさせちゃうんだから、少しでも拓海さんと一緒に、ね。」 智裕が肩を抱こうとしたら、パパは突然立ち上がった。 「駄目だよ…智裕くんは、色んな人に必要とされているんだから……。」 「へ?」 「……ごめん、ちょっとシャンパン飲みすぎた…先に部屋に戻ってるね。」 パパはニコリと笑って、足速に会場をあとにした。私も智裕も呆気に取られてしまっていると、心愛ちゃんが私たちのテーブルにやって来た。 「松田トレーナー、すぐに追いかけましょう。」 「え!で、でも…俺まだ…。」 「い い か ら は や く い け 。」 心愛ちゃんから只ならぬ雰囲気が醸されて、智裕も怯むと「はい」と素直に従って駆け足でパパのあとを追いかけた。 「茉莉さん、行きますわよ!」 「え?」 「これは南国の甘々イチャラブナイトのフラグですわ!」 「行こう!心愛ちゃん!」 私たちは本能のまま、萌えを追求することにした。

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