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正しい花火鑑賞
【麗彪 side】
「ね、ね、あれ、なあにっ?」
「わたあめだな。でかいから1つ買って一緒に食うか?」
「え、あれ食べるやつなの?」
今日1日で美月 の初めてがどんどん更新される。
かき氷・・・青いのが珍しかったのかブルーハワイを選び、小さな舌が青くなったのにはしゃいでんのが可愛過ぎて、キスした。
たこ焼き・・・火傷しない様冷ましてやって食わせたが、中はやっぱり熱かった様ではふはふしてんの可愛過ぎて、キスした。
射的・・・楽しんではいたが目当ての景品に当たらず、悔しそうなのが可愛過ぎて代わりに取ってやったら、お礼にキスしてくれた。
金魚掬 い・・・俺より上手く7匹も取ったのに驚いたが、俺は1匹も取れず、慰めにキスしてくれた。
りんご飴・・・絶対食べ切れないだろうが案の定欲しがり、半分以上食べたが残りは俺が引き受けて、お詫びにキスしてくれた。
「おっきいお花みたい。きれー」
わたあめ・・・カラフルなわたあめを手に、嬉しそうな美月。
かぶりついて、鼻の頭にわたあめ付けてる。
美月は可愛いも更新していくんだな。
舐め取ってやると、くすぐったそうに笑った。
「そろそろあいつらの土産買って帰るか」
「うんっ!えっと、たこ焼きと、りんご飴は食べるの大変だったからいちご飴と、かき氷はとけちゃうからベビーカステラ買ってこっ!」
ベビーカステラは、りんご飴で満腹だったので諦めたやつだ。
美月の選んだ土産と、ツマミにイカ焼きも買いマンションへ。
早めに帰るのには理由がある。
「ただいまーっ!あんせーにしてますかー?」
「お帰り美月ちゃーん!浴衣姿も可愛いわね〜!2人は先に屋上へ行ってるわよ」
駿河 時任 の抜糸と包帯交換に来ていたカンナ。
安静にしている事になってるヤツらは、屋上で準備してるらしい。
買ってきた土産も持って、カンナも連れて屋上に行く。
「駿河さん、ちゃんと座ってますね。あんせーにですよ?」
「はぁい」
「時任さんも、あんせーにしてなきゃ」
「俺は何ともない」
確かに、腹刺された割には何ともなさそうだな。
美月は気付いてるみたいだが。
屋上にはイスとテーブルが並べられ、飲み物も用意されていた。
テーブルに買ってきた土産を並べ、俺と美月はカップルシートに座り、美月の初めてが更新されるのを待つ。
「ぅゎっ・・・わあぁーっ!!」
ドォンという音に反応し、ぱあっと広がった花火に歓声を上げる美月。
次々と上がる花火に釘付けになっている横顔が、花火よりキラキラと輝いて見えた。
「はなび・・・はじめて・・・」
最後だろう一番大きな冠菊 が上がり、ゆっくりと静かに散っていく。
それを眺める美月の頬に、金色の涙が流れた。
「綺麗だな」
「うん・・・きれい・・・」
花火が上がってる隙にキスするとか聞いた事あるが、間違ってるだろ。
美月の瞳に映る花火を眺め、花火が終わって美月が満足したなら、抱き寄せてキスをする。
これが正しい、花火鑑賞だ。
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