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第2話
お兄ちゃんとは、15歳離れている。僕が産まれてすぐくらいに家を出て、寮のある高校へ進学したあと、うんと遠い大学へと進学し、そのまま就職した。
年2回くらい、お盆のこの時期と、お正月にしか帰ってこない。
どういうわけか実家には決して泊まらない。駅近くのホテルに連泊しているみたいだけど、何もそこまでしなくてもいいのになぁ・・・。
ツクツクボウシ
ツクツクボウシ
虫の音が聞こえ始めた。
そろそろ窓閉めなきゃ・・・。
よいしょっと、椅子から立ち上がった。
わぁ~~‼
きれ~~‼
西の空が茜色に綺麗に染まり、ロール状の低い雲も、橙色に染まっていて、とても美しい情景が広がっていた。
ガタン。
ドアが開く音がして、振り返ると、シャッター音が響いた。
「やだなぁ、お兄ちゃん。僕よりも彩さん撮ればいいでしょう」
むすっとして睨み付けた。
「だって、すごく可愛いかったから・・・つい・・・なぁ、未知・・・」
お兄ちゃんは悪そびる様子を見せる事無く、何かをねだるような仕草を見せた。
「ん⁉」
「お兄ちゃんの頼み、一つ聞いてくれるか?」
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