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お題/ラウンドファイト

~ 総一郎 × 蹴人 ~ いつもの如く、八神に呼び出されて駅前で拾われて、現在八神の家のソファーの上でダレでいるところだ。 八神はというと、上機嫌にキッチンでフンフン鼻歌を歌いながらパスタを茹でている。 リビング一面に無駄な平和感が漂っていて笑える。 「ミートソースが好きなのだと以前話していたね?なので、少しでも美味しいミートソースを君に食べてもらいたくて、研究をしていたのだけれど、試作を繰り返した結果、傑作が生まれてしまったのだよ。」 ご機嫌な理由はそれらしい。 研究やら試作やら、忙しい合間になにやってるんだと呆れる。 多分八神は徹底的に満足いくまでやるタイプだ。 そして満足いったものが出来上がったから今日俺が呼ばれたんだと思う。 「お前、忙しいクセになにやってんだ。」 「忙しい?…確かに多忙ではあるけれど、時間などは作ろうと思えばいくらでも作れるものだよ。」 俺、要領いいんで…的な笑顔に腹が立つ。 「ほう、じゃぁ食ってやる。その傑作ソースとやらをな。」 「ふふ、望むところだよ。」 ーーー ラウンドファイト!(カンカンカンッ!!) ゴングが鳴り響く。 - ROUND 1 - よっぽど自信があるらしい。 手招きをされてキッチンに向かった。 俺がキッチンに立つとろくな事がないと、基本的にキッチンは出入り禁止だとキツく言われている。 ホントにキッチンには近づけたくないのか、寝室に飲み物用の小型冷蔵庫、リビングにはウォーターサーバーを導入する徹底ぶりには内心白目を剥く。 キッチンに入るのはかなり久しぶりだ。 「味見をしてみるかい?」 「そんなに言うならしてやらないでもない。」 匂いで分かる。 間違いなく美味いやつだ。 チラッと見えた色もいい。 八神がスプーンを鍋に入れて少し掬った。 「火を通したばかりなので、少し熱いかもしれないね。」 八神がフーッとスプーンの上のミートソースを冷ました。 「止めろ、ガキじゃあるまいし。」 「そうかい?今にも口を開けて食べてしまいそうな勢いだったのでね、一応冷ましてからと思ったのだけれど…」 目の前のシュンとするアラフォーのおっさんを可愛いと思う俺はおかしい。 八神はまったくもってアラフォーのおっさんには見えないが、正真正銘アラフォーのおっさんだ。 「だー、もう面倒くさいヤツだな!ほら、とっととよこせ!!気が変わらないうちによこせ!!!」 「ふふ、食べ物を前に、君の気が変わるとはとても思えないのだけれど?」 「くっ…」 勝者 八神総一郎 - ROUND 2 - なんてダメージだ… かなりのライフゲージを削られた気がする。 「ほら、蹴人、あーんして?はい、ほら、あーん。」 「ばっか、お前、頭ん中虫湧いてるだろ!!」 「頭かい?この間ドック検診を受けたのけれど、特に目立った異常はなかったよ。」 「真面目かっ!!」 「真面目すぎるのは嫌いかい?」 「うぅ…」 勝者 八神総一郎 - ROUND 3 - 「ほら蹴人、あーん。」 俺が弱い甘い声… スプーンで上唇を軽く突かれて反射的に唇が開いた。 ズイッと口に入ってきたスプーンを拒めるわけもなく、八神の手から食う羽目になった。 「………うまっ!!」 「少し…少し待って…本当に少しだけ…」 「は?」 口からスプーンが抜かれると八神がしゃがみ込んで両手で顔を覆ってモダモダしていた。 「反則だよ…君、反則だよ。…本当にもう、可愛いらしすぎて…困ってしまうよ…」 「黙れ。」 「蹴人…ここで一度休戦を…休戦をしよう…」 勝者 黒木蹴人 - ROUND 4 - 「は?そんなもんは認められるわけないだろ。」 「俺の手から食べてもらえるとは思っていなかったものでね、動揺してしまったよ。」 「そもそもお前がだな…」 「哺乳反射…まるで赤ちゃんのような君の行動に色々と想像を…」 「お前、なにを想像した!!」 「あぁ、もう天使だ。…想像でしかないけれど、赤ちゃんの頃の君は、天使でしかなかった。」 「おいおい、ついに湧いたか…」 「少しの間放っておいて…俺は今、正常な状態ではないから…」 いや、八神はいつも正常じゃない。 そう教えてやりたいが、面倒くさいから止めておく。 「とりあえず美味かったのは分かったが、お前が騒ぐからいまいち味がはっきりしなかった。もう一口食う。」 八神が待ってましたとばかりにスクッと立ち上がって、今度は小皿にソースを流した。 そして、それを指で掬った。 「はい、どうぞ召し上がれ。」 「…は?」 「とても美味しかったのでしょう?好きなだけ舐めてもらって構わないよ…」 「お前、もうそれ変態の域だからな?ホント、冗談抜きで変態だからな?」 ドン引きもいいところだ。 「俺は君の為ならば変態にでもなれるよ。」 「いや、俺の為じゃなく自分の為に変態になるんだろ!自分の変態具合を俺のせいにするな!!」 「ほら、早く食べなければ冷めてしまうよ?」 激しく悩んでいる自分が怖い。 なのに悩むのは… 八神の白くて、長くて、綺麗な指に絡まったミートソースの色が激しく強調されて美味そうに見えすぎるのと、いい匂いのせいだ。 …と思いたい。 無意識に少しずつ開いていた唇を八神は見落とさなかった。 隙をついて指が口に入り込んだ。 「ん…ンッ…」 「美味しいかい、蹴人…」 指の腹が上顎やら舌やらを撫でる。 こうなるともうソースの味どころじゃない。 口の中を犯されてるような感覚に身体中がゾクゾクする。 「ふ…ッ…」 「ふふ、美味しそうな表情…というよりは、エッチな顔…というべきかな。」 自然と鼻呼吸になる。 顔が… 身体が… 全身が熱くてたまらない。 「ンッ…ふ…」 「ほら蹴人…吸ってごらん…唇の端から伝っているよ?」 キュッと指先を吸い上げると八神からなんとも言えない溜息が漏れた。 「んンッ…」 「あー…もう、なに!?なんなの!?ねぇ、なんなの、君は!?」 チュポッと指が抜かれると、目の前に完全に色々崩壊して逆ギレを始めた八神が居た。 「なんなんだお前、なにがしたい!!」 「し、知らないよ、俺が聞きたいくらいだよ。」 勝者 黒木蹴人 ROUND 5 「とりあえず黙れ。そして落ち着け。」 「…はぁ、はぁ…」 「疲労困憊といったところだな、八神。」 「き、君が可愛らしすぎるからいけないのだよ。」 「お前なぁ…毎回毎回飽きもせずに…」 「…ふふ、蹴人の唇、ミートソースで赤くなっているよ。」 八神の顔が近づいて、軽く顎を上げられると舌先が唇をなぞった。 それから、リップ音立てながら唇を啄まれて、入り込んだ舌に散々口内を荒らされた。 それだけならまだしも、身体中に軽いお触りが入ったせいで悔しいが立ってるのもやっとだ。 おまけに、ようやくありつけたソースは傑作なだけに美味かったが、パスタは伸び伸びに伸びきって残念な結果に終わった。 両者 引き分け 試合終了。(カンカンカンッ!) - end - 軽く遊ばせてみました。 総一郎さん、ぶっ壊してごめんなさい…(._.) みつき。

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