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お題/0.02mm

~ 総一郎 × 蹴人 ~ 俺は今、激しく危機を感じている。 連休中の連日のセックス、連日の中出し… このままだと確実にヤり殺される。 この際セックスは許す。 俺はまだ盛んな年頃だし、ヤればヤったでぶっちゃけ気持ち良いのは確かだ。 問題は中出し… 八神とヤるようになって一度もゴムを使った事がない。 これは大問題だ。 八神はいいかもしれないが、俺は後々色々大変な思いをする。 平日に拉致られた時… アレは最悪だ。 次の日は一日中腹が痛い。 最悪なコンディションで大学やバイトに行かないといけない。 危機感を強めた俺は、八神の目を盗んでドラッグストアに居る。 もちろんスキンコーナーだ。 ちなみに隣が生理用品コーナーで若干気まずい… 生きるか死ぬかで必死な俺にすれ違う女たちの視線が突き刺さる。 ちなみに俺は財布に優しい徳用を使っていたが、自分の為となると悩む。 0.02mmとかゼリーinとか… なんだかんだで10分もスキンコーナーに滞在した。 結局極薄の0.02mmを選んだ。 一回試してみたいとは思っていたが、まさか突っ込まれる側で試す事になるとは… なんとか第一関門は突破した。 最大の難関は八神… 大人しく使うかどうかが問題だ。 どう切り出すか… 自分でハードルを上げたような気分になって溜息をついた。 「どうしたのだい、蹴人。何か悩み事かい?今日は溜息が多いようだけれど。」 「別に…」 「…君、俺になにか隠し事をしているね?」 「そんな事はない。」 「嘘はいけないよ、蹴人。俺を騙せるとでも思っているのかい?」 「だから…」 「蹴人…」 八神が静かな声で俺を呼ぶ時は大体イラついている時だ。 こうなればもう隠し通せない。 どうやら正直に言うしかなさそうだ。 俺は仕方なく鞄からゴムが入った箱を取り出して八神に突き出した。 急な事に驚いたらしく、ソレを凝視した。 「お前、せめて百回中一回はゴム使え!」 八神に課したハードルの低さには驚いた。 毎回使えと言うつもりはない。 それが叶わない事は俺が一番分かっている。 「何を言っているのだい、蹴人。君を孕ませられなくなってしまうではないか。」 「は、孕ま…」 まさかのとんでも発言だ。 既成事実タイプの危ないヤツだとは思っていたが、ここまでとは驚きだ。 内心、白目を剥いた。 「そうだよ。…実際にはあり得ない事だけれど、俺は常にそのようなつもりで君を抱いているのだけれどね。」 最早ここまで来るとバカとかアホとかいうレベルじゃないの問題じゃない。 ただの頭の悪いヤツだ。 俺もこんな事くらいで引き下がるわけにもいかない。 そこで一芝居打つ事にした。 「お前、勝手すぎる…」 「え、蹴人?」 こんなのは俺らしくもない。 これも俺の身体の為だ。 仕方なく目を潤ませた。 「お前…俺の事、なにも考えてないだろ…。お前は満足かもしれないが、お前が抜かないで腹ん中何度も出すから、後が大変なんだ、ホントに色々大変なんだ…」 潤ませた目で訴えるように言えば、流石の八神もタジタジになるだろうと思った。 「…蹴人。」 「頼むから、ゴム使ってくれ…。…な?」 「…蹴人、気付いているのかいないのか分からないけれど、その様な顔をして、俺を煽っているのかい?」 どうやら俺は失敗したらしい。 こんな小芝居は八神には通用しなかった。 「違ッ…おい、こら、下ろせッ。」 八神が軽々と抱き抱えて連れて行ったのは寝室だった。 俺をベッドに下ろすと八神が跨った。 そして、甘い言葉と指先で呆気なく流された。 「…ン…はぁ…ッ…八神、もう…」 「…ふふ、グズグズだね、蹴人…本当に可愛らしい…」 「…ッ…は、ぁ…」 八神が俺が握っていたゴムの箱を取り上げて外包装フィルムを剥がすとそれがヒラヒラと床に落ちた。 中身を取り出すと繋がった部分がバラバラと列を作る。 そこから一枚千切って見せた後、目が合った。 「…使用するかい?君が決めてよいよ、蹴人。」 八神がそれの端を咥えた。 ズルいヤツだ。 こんなに俺をグズグズに甘やかした後に選ばせるなんてズルい… 今の状況からして、一分一秒だって待てなくなっている事くらい分かっている筈だ。 「も、…挿入れろ…」 「よいのかい?…」 「する気なんか、ないクセに…」 八神が咥えていた筈のゴムはもう床に捨てられていた。 俺の答えを知っていたみたいで腹立つ。 でもそんな気持ちはすぐに失せた。 なにも考えられないくらい激しかった。 先端が奥にグリグリあたる感覚とか、腹の奥がジワジワ熱くなる感覚とか、きっとゴムをしたら味わえないんだろうが、今朝も俺は腹痛だ。 しかし、自分の意思の弱さにはショックを受ける。 あんなに楽しみにしていた連休を早く終われと思う日が来るとは驚きだ。 今回は敗北したが、次こそは絶対に使わせる。 待ってろ、0.02mm!! 俺はそう心に誓った。 - end - 連休の二人。 0.02mmの出番はなさそうである。 みつき。

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