130 / 163

窮鼠猫を噛む/6

触れるだけのキスを何度か繰り返し、次第にそれは深くなっていく。 先程の露天風呂よりも静かな室内では、息遣いや唾液が交わる音に 加えて小さなリップ音まで脳内に響いてきて、今日何度も中途半端に煽られている秀一の劣情が再び顔を出した。 「奏真く、ん…」 それでも頭をよぎる、風呂でぐったりと身体を預けてきた奏真の姿。 もちろん残念だったけれど、あんなになるほど逆上せてしまって大丈夫かと心底ヒヤッとした。 秀一は流されそうになる自分をグッと奮い立たせ、奏真の肩を掴んで距離を取った。 「奏真くん、寝てた方が…」 「いいよ、もう平気。」 「でも。」 「流石に体調がやばいかどうか判断出来るくらいには回復してるよ。」 くすりと小さく笑った奏真は自分の肩を掴む秀一の腕を優しく外すと、その手を握って再びキスしてきた。 本人が大丈夫だって、いうなら。 あっさりと流された秀一は奏真の手を握り返し、キスに応える。奏真はゆっくりと秀一に乗り上げて徐々に徐々に体重をかけてくると、秀一の身体を自分が寝ていた布団に横たえた。 「…………ん?」 ちょっと、この体勢は。 秀一の戸惑いなんて気付いていないかのように、奏真は着々と秀一の浴衣を脱がしていく。その手際の良さはちょっと自信をなくすほどだ。 奏真の手が秀一の適当な帯をしゅるりと解き、露わになった下着の中に手を差し入れたその時。 「ちょ、待った!!待ったちょっと待った!!」 「待たない。」 「あッ…ちょ、待ってお願いします待ってください!!」 「待たない。秀一の浴衣がエロいのが悪い。」 「こっちの台詞だよ…!!」 どうにかこうにかこの不利な体勢を逆転したくて力一杯奏真の身体を押し返したものの奏真も立派な成人男性、こんな体勢から簡単にひっくり返るほどヤワじゃない。 あっという間にあられもない姿にされてしまった秀一の股間をジッと見つめている。心なしか熱を孕んだ視線に、血液がそこに集まるのを感じたその瞬間。 「あッ…ちょ、…ッ!奏真く…」 おもむろにあーんと大きく口を開けた奏真の口内にダイブして、秀一の息子は温かい口の中で一気に元気になった。

ともだちにシェアしよう!