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第1話

昔から『吸血鬼は日の光に弱い』という話を耳にする。 長い月日の中で人間はそれをずっと信じてきた。 確かに化け物といえば夜を主として生きるイメージがある。実際に考えてみると、夜に人を脅かす幽霊なんて聞いたことがない。 人間の言うことは確かに的を得ている。 なんて、そんなくだらないことを考えながら今日も何をするもなく街に出た。 この国は平和。という言葉が何よりに会うくらい良い国だ。 街の人たちには笑顔があり、小さな子供がきゃっきゃと遊ぶ。 実に微笑ましい光景だ。 ただ、唯一不運だったのは隣接する国が化け物の住む吸血鬼の国。ということくらいだろう。 何千年も昔からある其の国は面積も多ければ、危険な吸血鬼が非常に多く集まっていた。 其のため、この国にも多くの吸血鬼が訪れる。というのはひどく納得のいく話だ。 『おい、向こうの村でまた死体が上がったってよ。吸血鬼だ』 『なんだぁそりゃ。困ったもんだなぁ。あの化け物は日に弱いんだろう?昼のうちにどうにかならんもんなのかい?』 『そーなんだけどなぁ。国王様は何をお考えになっているのかさっぱりわからん。このままじゃあすぐにこの国は滅びるぞ』 齢50くらいの男性二人がそんな話をしている。 化け物相手に奇襲をかけるなんて考えたものだ。 しかし、この国の王は平和主義。争いを好まないタイプの人間である。そんな好戦的な真似は絶対に取らないだろう。 国民を守る其の姿勢も、国民からしてみれば臆病者。と見えているのかもしれない。 そして何より、吸血鬼が日に弱いというのは迷信だ。 吸血鬼は昼でも平気な顔をしながら外を歩く。 十字架やニンニクだってちっとも怖くはない。 苦手なものといえば、渇きと聖水くらいだろう。 人間が挑んだところで、勝てるわけがない。 では、何故自分はこんなに吸血鬼について詳しいのか。 簡単な話だ。 自分が吸血鬼だからである 人を喰う罪人であり化け物だからだ。 同じ人種にさえも理解されることのなかった。 強者の中からはみ出てしまった、異端の存在だからである

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