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第3話

「なんて事するんだ!君のせいで女の子に逃げられただろ!」 キッ、と整った顔を歪める。 よくみれば男は美形で、変なことを言わなければきっと女性にモテるだろう。 「はて、それはすいません。でも、邪魔をしなくてもあれは逃げられましたよ」 「ぅ……う、煩い!」 顔を真っ赤にして怒るのは自覚があったからだろうか。 それとも指摘を受けた羞恥だろうか。 どちらでも構わないが表情を持った人の顔っというものは少なからずや興味が湧くものだ。 自分にないもの。というのは誰だって気になる。 それは妬みの感情よりはどちらかというと、尊敬。というものに近いのだろうか。 喜怒哀楽というのはどの感情であっても人間味がある。 それが欠落した自分というのは本当に化け物なんだろう 「だいたい君はなんなんだよっ…!」 声をキンキンにして怒る彼にはその人間味。とやらを確かに感じた。 「さぁ、吸血鬼だって言ったらどうします?」 そういうと彼はハッ、と笑う。 その顔は吸血鬼を見たことがないものがする顔だ。 見たことがないから、神話だとか、迷信だとか、言えるんだろう。 最近の若者にはそういう奴が多いのかもしれない。 「冗談はよしてくれ、名前だよ。今度絶対仕返ししてやる」 「名前…あぁ、レンフィアトル・B(ブール)です。」 「れ……ふぃ?」 「れんでいいです」 名乗れと言ったから名乗ったら、それすら覚えられない阿呆だった。 くだらない言い合いだ。 誰かと話すことさえ久しぶりな自分からすれば尚更そう思えた

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