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第5話 夏の友だち 二

ロックの日に 番外編五 tryst 夏の友だち 二 夏の夜のジャズフェスを鴨川の出町柳のところのデルタで開催するという。 そんなに大きな催し物ではないが、夕涼みする人たちもいるので毎年結構な人数ではあると言う朝倉君の顔を見ると、期待で目が輝いている。 「 そう言えば俺の演奏、聞いたことあるって聞いたけど 」 「 ええ、代官山の店でゲストで演奏した時に 」 「 あぁ、あの時、ね 」 話をしながらすっかり俺は演奏する気になりつつあった。 サックスを手に取りながら新品のリードをつけてマウスピースを咥えると、一日吹かなかった飢餓感が腹の底から上がってくる。 ダメだな、やっぱりこれがないと、二台ほどその感触を確かめながら心持ち気持ち強く吹き始める。 鳴ってきた! 嬉しくなって思わず口元を緩めるとそんな俺をしっかりと眺めていたのか朝倉君が安心したように小さく笑った。 二人で明日の夜のナンバーの話をしているとあっという間に昼になったようで店のフロントから女性の声がかかった。 「 お昼とっくに過ぎてるけど、どうする?」 顔を出した女性は髪の毛をアップにして快活なオレンジ色のワンピースを着ている。 「 あら、お客さん?」 「 青山ジュンヤさん、俺の好きなサックス奏者の人 」 彼女は笑いながら、 「 サックスが恋人のキナの好きな人ね 」 その言葉に一気にゆでダコみたいになった朝倉君。自分だって似たような事を言ってたのにな。 「 キナって言うの?」 と助け舟を出すと、 「 ハイ、キナトを短くしてキナって呼ばれてるんです。 そうだお昼まだですよね!」 「 うん、朝も食べ損ねてる 」 「 そりゃ大変だ 」 本当に哀しそうに大変だと言うと、 「 この側に肉屋の旨いランチがあるんです、行きませんか?」 俺には反対する理由は一つもない 喜んでお供することにする。 肉専門の店のボリュームあるランチを二人で食べながら、ジャズの話をしこたました。 初めて会ったのに尽きない話に俺はすっかりリラックスしていた。 なんと食後コーヒーを飲み干した時には二時をとうに回っていて、俺はキナと連絡先を交わして明日のリハの打ち合わせの時間を決めると慌てて店を出る。 奥まった店の暗い店内から外に出ると暑く滾ったアスファルトがスニーカーの裏から夏の午後の熱を伝えてくる。急ぐ脚が尚更早くなる。

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