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20. 落ち着かない心
「おはよう、泉。」
「お、おはよう。あれ?樹 が朝から来るなんて珍しいな。いつもは始業時刻ギリギリに来るくせに。」
樹は俺の幼少期からの親友で、学校が終わるとすぐに俺の家に来て2人でよく遊んでいた。
それが、今も変わらず続いているのは樹が俺のことを凄く気にしてくれているからだ。
「うっせ。そういう泉は歩き方変じゃね?」
「え?あ、あぁ、うん。ちょっと寝違えて腰やっちゃった。あははははっ」
すぐにバレそうな嘘だと思ったけれど、これ以上にこの腰の痛みを説明する理由がなくて…
どうか気付かないでくれ。と心の中で願った。
「お前、昼は?」
「あ、いや。今日はそんな暇なくてさ。学食でも行こうかな〜なんて。」
これもまた、今朝の…
はぁ、本当にとんでもなく運の悪い日だ。
今朝慌ててホテルを出て、エントランスではコケそうになるし、フラフラ歩いてたからか電柱にぶつかるし、家に帰ってカバンの中に確認したら携帯ないしで本当に大変だった。
携帯ないのは困るなぁ…
恐らく御堂院さんが気付いてくれているだろうけれど、俺連絡先知らないからなぁ。
蒼ちゃん所に行けば、居るんだろうけど。
自分が何をやらかしたのか分かってないから会うのが怖い。
夜の相手と会うのがこんなに憂鬱だと思うのは初めてのことだった。
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