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エピローグ

「悠さん、東京戻ったら連絡する」 「拓は社交辞令じゃなくほんとに連絡してきそうでやだ」 「何それ、酷い、絶対連絡する」 「あはは」 悠はその日のうちにバイトを辞める事になった。 『さすがにこのまま続けるほど、メンタル強くない』 そう言う悠を止められず、夕食時のシフトまでの空き時間に、駅まで春翔、泉、拓の3人で見送りに来た。 「悠さん、本当にごめん。俺が昨日春翔さん誘ったから」 泉が神妙に言うと、拓も謝る。 「俺なんか一緒にいたのに、何も出来なくて」 「謝る事なんてない。お前らが助けに来てくれて嬉しかった、俺が礼言わなきゃ」 あれ?なんか違う。 春翔は、悠と泉と拓の会話に何かが引っかかる。 午前中、春翔も悠とあの時の話をした。 何が違う? 『お前らが助けに来てくれてー』 『お前にだけは見られたくなかったーー俺はもう綺麗じゃない』 『お前ら』 『お前にだけは』 俺にだけ、俺だけ? それって、俺を意識してくれてた…? 「悠さん!お前にだけってどういう意味?俺には知られたくなかったって、あれは」 電車が来る。 悠は答えず電車のドアに向かう。 電車に乗って振り返り、それまでしていたマスクを外した。 「悠さん!」 扉が閉まる。 「行くから!逢いに行くから」 春翔がドア越しに叫ぶ。 「マッテル」 去りゆく電車の向こうで、悠の唇がそう動く。 一生の恋を見つけた。 春翔が今年の夏を思い出す時、その言葉しか思いつかない。

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