9 / 9
One night-3
「お帰り」
「えっ……ルカ、起きてたの!」
「二人が帰ってくるのを待とうと思ってな」
ほらね、というふうにセナはエレナに向かって微笑んだ。エレナの頬が紅潮している。机の上には三つの木のカップが置かれていて湯気が立っている。エレナの背を押してセナは部屋に入り込んだ。
「温かいものでも飲んで早く寝なさい」
「ルカ様」
「うん?」
「……ごめんなさい」
「謝ることなどなにもないよ」
ルカは優しく微笑んで組んでいた腕を解く。二人に座るよう勧め、カップを渡してきた。三人で揃ってテーブルを囲む。その嬉しさにセナは頬を綻ばせた。
長い冬は、まだ始まったばかりだ。
Fin.
ともだちにシェアしよう!