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1-S
「三島、おはよ」
「おはよう、森保君」
スマホごしに三島と挨拶。
只今、午後10時45分。
三島のあいさつが移ってしまった。
立冬をむかえ、夜もだいぶ寒くなってきた。
あれから、三島とよくつるむようにしている。
というか、常に一緒にいる。
生物で研究グループを作るとき、体育で2人一組のストレッチするとき等々。
なにかと、
「三島」
を呼ぶ。
何とか手懐けようとしているのだが、いまだに緊張している気まぐれ猫に、毎日がもどかしい。
確かに急りすぎかもしれないが、いかんせん某王子がいるから、気が抜けない。
なんとか連絡先を交換して、
「三島、何してた」
電話をちょくちょくかけてる。
三島は、初めてこそ緊張した声だったが、慣れた今では、面と向かってより声が弾んでいる。
なんか腑に落ちないが、まぁいいだろう。
とりあえず、電話できる仲になったんだから、一歩前進か。
「俺はね、今お風呂からあがったとこ。森保君は?」
「……」
想像してしまった、風呂上がりの三島のパジャマ姿。
スエットじゃない、ちゃんとしたパジャマ。しかも、若干大きめのやつ。
「もしもし?」
「ああ、悪りー、今一瞬寝たわ」
正しくは、一瞬トリップしてただが。
「ん?なっちゃん、眠いの?」
……。
気まぐれ猫の思いがけずな発言に、
「なっちゃん…、誰だソイツ」
つい、不良Aなドスを効かせた声で台詞を言ってしまった。
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