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2-S
「森保君、おはよう」
「……」
三島の挨拶を無視。
「アレ?モリー挨拶されてっけど?」
「眉間のシワがすげーぞ、モリー」
「オイオイ、モリー、オマエ誰か殺す気か?」
"いつもの一場面"じゃない事に、周りは違和感を感じてるようだ。
只今、午前12時45分。
気まぐれ猫、どうせその顔も気まぐれだろ。
昨日の電話中、俺がつい三島のパジャマ姿を妄想していたところ、
『ん?なっちゃん、眠いの?』
と、まさかの発言。
しかも、優しい甘やかすような声で。
"なっちゃん"って誰だと問い詰めると、三島はしどろもどろ。
イラっとした俺は、そのまま電話を切った。
すぐ三島からLINEがきたが、既読スルー。
LINEには"妹と間違えた"とあったが、本当か?
仮に妹だったとして、あの声色が許せなかった。
「みっちゃん、モリーと喧嘩?」
喧嘩じゃねーよ。
ただ、俺が一方的に腹立ててるだけだ。
「さっさと謝って仲直りしなよ」
ってか吉川、三島とちけーよ。
「ん、みっちゃん、チョコでも食べて、元気だせよ」
オイ吉川、ナニ餌付けしてんだ。
しかも、三島もニコニコ餌付けされてんじゃねーよ。
俺にはそんな顔しねーのに。
自分から無視しといて、何イライラしてんだ俺。
あーもう、電話してちゃんと三島に聞こう。
気まぐれ猫は、目を離すとすぐどこかに行ってしまう。
以前のような"いつもの"ワンシーンだけに戻るのは、もう無理だ。
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