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15.5-S

《extra story》 「…藤」 「……」 「…藤」 「……」 「…寝たか」 今日は疲れたんだろうな。 特に気疲れか。 豆球を消そうと布団から出て、立ち上がる。 いや、藤の寝顔を見ようと思って布団から抜け出た、が正しい。 藤の顔の横にしゃがむ。 寝顔は…、なっちゃん以上に天使だ。 ずっと触りたかった天パの猫っ毛に目がいく。 ゆっくりと、藤の髪に指を通す。 想像通り、柔らかく触り心地がいい。 気持ち良さに何度も撫でていると、 「んん…」 微かに声を出しながら身じろぐ藤。 起きたかと思って手を止め、藤の顔を見る。 幼い笑顔で寝ていた。 そのまま手を滑らせ、頬を撫でていると、藤は俺の手に擦り寄ってきた。 今度は、髪とは違う柔らかそうな唇に目がいく。 その柔らかさを確かめるため、親指で下唇押す。 「ん」 すると、藤の口が開き… "ペロッ" そのまま固まっていると、 "ペロ、ペロ、ペロ…" …もう無理だ。 もっと、しっかり、オマエの唇を確かめたい。 そう思うと、もう一度頬に手を添え、藤の唇に顔を近づける。 藤、オマエの唇を… 「わー、またわたしのかちーー!」 俺の動きを止める声。 ギギギッとロボットのようになっちゃんの方を向く。 「ふたりとも、よわい…」 夢の中でもババ抜きを楽しんでいるんだろうな。 「まだ、なっちゃんの許可はおりないか」 苦笑いをしながら、再度、親指で藤の唇に触れる。 今度はその親指を、 "ぺろ" 自分で舐める。 「おやすみ、藤」 俺は、二人を起こさないように、ゆっくりと立ち上がり、部屋をでた。 あぁ、あの気まぐれ猫を、早くこの腕の中で可愛がりたい。

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