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好きだったよ/隼人side
初めて会ったとき…天使かと思った。
日本人らしくない色白さと薄い瞳の色。髪も瞳と同じような色をしていた。
気になって話しかけたら彼の回りは凍りついた…
言うことが辛辣で見た目とのギャップが大きくそれが逆に面白くてしつこく話しかけていたら一緒にいさせてもらえるようになった。
「隼人!」
そう呼ばれるとテンションも上がる。
でも相手は名前で呼ばせてはくれなかった。女の子っぽいから好きじゃないみたい
「水無瀬」
仕方なく名字で呼んでいた。
水無瀬はかなりモテるけど誰とも付き合う気は無いようだ。
恋人でもいるのだろうか?
臆病な俺は聞けなくて結局親友と呼ばれる立場に甘んじていた。そんな臆病な気持ちが出てきていた時点で恋していたんだと思う。
自覚してからこれまで通り振る舞うことがかなり困難だったが幸い水無瀬が気付くことはなかった。
そして卒業式の日。結局想いは告げられなくて…そのまま別れた。
これから水無瀬はここからじゃそう簡単には会いに行けない大学へ進学することになっていた。
想いは告げられなかったけれどそれでも俺は良かったのだと言い聞かせた。
だって占いで言われてた。生涯隣にいられるって…だったらそれ以上何を望む?
帰宅して高校時代を振り返っていたら何となく落ち着かなくなって散歩に出た。
いつも通ることはない逆の道。
何年もここに住んでいるのに通ったことはなかった道
ふらふらと歩いていたら川面を見詰める人を見つけた。
間違うはずがない。3年間ずっと側にいさせてくれた想い人なんだから
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